匿名ゆき  2014-11-23 17:15:10 
通報
無題が僕らを苦しめる。
だから分類を通し、平行線の公理のように事象を定義付けてきた。

本当はそうではない。

題は彼らを濁らせる。
事象はいつも題を欲しがっているが、あまり顔を出してこない。
僕らが絶対的性質を愛しているのと同じぐらい、彼らは偶然的性質を愛しているから。
これを例えるなら、僕らは多様性を駆使して愛を維持し続けることに必死だが
事象は素晴らしい逢瀬のきっかけにのみ固執し、本来の多様性を隠して生きたがる。
ここに集約されるだろう。

僕らが与えた題は、透き通り過ぎていている。
濁りきった水溶液を飲まされているにも関わらず。



思考の周辺とか、暇潰しに書いていきたいな。
勉強のこととか、本や音楽とかも。

コメントを投稿する

  • No.122 by 匿名ゆき  2015-04-25 22:50:22 

中二病日記


「沈黙の螺旋か」
おっと、口が緩んでしまった。
聞かれたところで問題になるわけでもないが、制御できないのは歯痒い。
少なからず扇動員と言うものが存在するわけで、学校においては教員の役割だ。
教育よりも力を入れているかもしれないが。
「今日は6月3日だから、はい、Kさん」
呼ばれた気がしたので、教科書を開き、無意味なほど流暢に読み上げる。

「…鞄を手放すなんて、そんな、あり得ない仮説を立ててみても始まらないでしょう。…」
そもそも読み方を矯育しようとする方が無意味だろう。
それでも、文章の書き方を教わる時間よりはましだ。
他人の為に書いたものが役に立つ場合など、ほとんどないからだ。

「なぜ、どうして」
文字の下には登場人物の行動理由について考察してみよう、と書かれている。
…不条理は時に人を助ける…?
あり得ないよ、まったく。
「はぁ…『べつに貴重品だから、肌身離さずってわけじゃありません。』」
人を助ける不条理は、最早不条理ではないね。
勘違いしないでもらいたいが、矯育上仕方のない事なのだろう。
弱いものを救うためにあるのではなく、どちらかと言えば強いものを殺すためにある。
殺すために存在する武器は確かに美しいと言われることもある。だが…

勘違いが勘違いを引き起こして、あたかも不条理の渦中で苦しんでいるふりをしたり、不条理性皆無の出来事を不条理として捉え、あまつさえ美しいなどと言うのだ。
不条理に関して分かったふりをするなんて、愚かすぎるよ。
ほどかれた鎖を前にして、それを鎖だと言い張るぐらいには盲目なのだろう。
「…選ぶ道がなければ、迷うこともない。私は嫌になるほど自由だった。」
今日、Kは欠席だった。

  • No.123 by 匿名ゆき  2015-04-27 01:16:40 

事前模試を受けてしまったので
傾向と対策


高三生に某塾のマーク模試のヒントを…
あげてしまうとね、怒られるのですよ。
某塾の数学マーク模試は例年通り。
去年のマーク問題集が売っているので怖ければ確認するのもあり。

数1A
平面図形や確率の終盤はだいたい正答率3.0〜0.3%ほどになるので、難しければ捨てるのもあり。
ただし、序盤の設問三つはあまり落とさない方がいいです。
最後の問いの正答率が10%ほどなので、差がつきます。
60分でなかなかの分量、数1Aは時間に追われるため、書き続けなければあっさり死んでしまうでしょう。

数2B
もう、積分にたどり着かせたくないのではと思うほど、面倒な方程式の決定の後に積分計算を問われるのが特徴。
微分関連の問題を解いておくと楽になる。
三角指数対数は稼ぎ所。
数列はある程度パターンはあるものの、毎回ユニークな問題を出題してくる。
今年のセンターの数列ぐらいを想定してもいいかもね。
冷静になれば難しい事は聞いていないので、数学語を日本語に訳す訓練をしよう。
ベクトルは並、ただしラストは平面同様地獄となる場合もあり。

模試用の勉強よりも、チャートなど問題集を解いている方がいいですよ。
チャートならコンパス4つの問題が頭で再現できれば割と高得点が狙える。
浅目の参考書でも基礎が完璧なら偏差値50ぐらい狙えるかも。
でも解き直しはした方がいいんじゃないかな。

これは受験した自分の意見ですが、マーク模試にも記述模試にも出ていない小問類…私大では一問8点など馬鹿にできない所もあるので注意。
例.2016の正の約数の個数と、その総和を求めよ。

良く見かける問題ですがどうでしょう。
この問題、僕は今年どこかの大学で確実に出題される気がするのですが…。
2016=2^5・3^2・7
素因数分解されても思い付かなければ、100点のうち8点失います。

  • No.124 by 匿名ゆき  2015-04-29 23:02:27 

誕生日


来年の4/29。
最高を創造する日になることを願います。
今は、空の小箱を受け取って下さい。
来年になったら開きますよ。

お手紙が届いただけでまごついてしまう。
…単語の暗記などと、そんなつもりではないのだが、いつのまにか一言一句正確に覚えてしまう。
恋には職業病に似たものがあるのかもしれない…。
仕事のような苦しみとは、相容れないものがあるが。
強制されることに喜びを感じられ…その日の内から明日の事を考える…。
死角は全くなく、少しでも隙間をつくれば不純物が光のように一瞬で入り込む。
お互い不純物の侵入を防ぐことに必死なだけでは足りないだろう。
空き巣に文句を言ったところで、君が家宅侵入罪に問われる可能性は、なくなったわけではないのだ。
むしろ君の方が空き巣になってしまうことも良くある話さ。
急に眠気が酷くなった。
目が覚めたとき、僕はどこで光のさしこむ隙間を塞ごうとしているだろうか。

  • No.125 by 匿名ゆき  2015-05-02 18:06:26 

ネガティブワード


過去形ほど、人を傷付けるものはないだろうね。
英語は言葉の持つ意味よりも、文の形がもたらす意味で他者の意識を炙り出す。
日本語は円滑な生活の為に、英語はその日本語の寓意…真意を取り出す道具へ。
僕も英語は苦手ですけれど、工夫して楽しみましょう。

理系生に朗報。
大学で扱う参考文献は、第5文型やら、面倒なものは使われないんですよ。
単語も馴染みの…自然科学に関わるものが増えるので面白いね。
ただ…読み始めると途中でだれてきたりしたりしなかったり…。
第1、第2が多いので神経質にならなくていいです。
気合いがあれば日本人の誰でも読めます。

センターは第5文型、大好きです。
出るものが決まってる試験なので対策はできますが、最早基礎を測るものではないですね。
クイズ、しっかり付き合ってあげましょう。

  • No.126 by 匿名ゆき  2015-05-02 18:34:47 

点在はやがて大きな孤独を呼び寄せる


それでも部屋の中は整頓しきれていない方が落ち着くのだから、
寂しさを一抹の勘違いに委ねて流されてしまってもいいのかもしれない。
孤独を感じるのは空き時間があるからでしょう。
勉強でもして、繋がりを意識の外へ追いやってしまえばいいのにね。
繋ぐと今度は切る時が大変だ…二本の太い糸が君の心臓に繋がっていて、左右から同じくらい強い力で引っ張られる…制限時間は偶力のモーメントが役目を果たして君を回し終えるまで…二本ならまだましで、これが三本四本と喜んで紡がれてゆく…選ぶ糸を決めていたとしても、切る時間などなく惹き契られるのだ。

まぁ、選んだ一本に糸なんて表現は相応しくないけれど。
肖ってしまうと、その糸は決して引っ張ることがなく、僕に密着しているから弛んでいるのです…。

  • No.127 by 匿名ゆき  2015-05-04 22:02:14 

とある文学部での出題


∫[0→2π](hv'sinθ/C)adθ
-mBCcosθ/√(1-B^2)

を解け。

  • No.128 by 匿名ゆき  2015-05-08 23:55:59 

死にたいのなら

死んでも良いかなぁ、程度に考えていた方が良いらしい。

いざ「普通に」と意気込むと、大して上手くいかない事が多いのは
普通になる事と死ぬことが似ているからかもしれない。
そうなると既に普通の人間は、死にかけている人々と変わらない事になる。
だから軽い気持ちで普通になろうとしてはいけないのだ。

しかし、死ぬほど好きな人に「あなたにはこの先上手くいってほしい」なんて言われて
死人以外の道、もとい一般道路以外を選べる者はいないだろう。
まぁ死人にならない程度に、普通を目指しましょうか。

[話題転換]
しかし、ニルヴァーナのくだりは面白かったなぁ。
授業中に英単語のオルタナ、カート・コバーンの話が登場してね
偶然僕はニルヴァーナの服を着ていたんですよ。
僕はニルヴァーナに関して「グランジ」方面でしか知らなかったので驚きましたね。

アルバム聞くんですか→×
ニルヴァーナ好きですか→△
じゃあ何故着てるのかと。
皆さん笑ってくれて僕も嬉しかったけど、本当はあまり喜ばしくないんだよなぁ。

「○○○○なら聴いてます」
(この曲こそ名前なんて上げたくない曲なんですけどね)
「考え方は好きなんですよ」
僕は、続きは後で話しましょうと言われたけれど
ニルヴァーナは話し合うバンドじゃないんですよ。
―などとも言わずに終わってしまった。
ちょっと無愛想だったかなぁ。

プログレ好きとしては、あんまりグランジの話はしたくないんですよね。
パンクと関わっている時点で気持ちはマイナス。
背景的には、プログレ出来ない若者がこぞってグランジに流れた…なんてことがあったりね。

どうか、progressに反応していただけませんか。
でもあれは英国寄りだから難しいかしら。
スキゾイドなんて医学部志望じゃないと出ないだろうなぁ。
スキゾタイパル、自分の思考を失うのが怖い気持ちは良く分かるよ。

これからはのんびりマイペースでいこうかな。

  • No.129 by 匿名ゆき  2015-05-15 21:31:12 

ネタバレにいたる病、そして


なんとか塾の記述模試もし。
あんまり話せないけど、愚痴だけ。
選択問題の極限、無限大吹っ飛ばしたあとの答え、ありゃミスりましたわ〜。
極限計算は実験的で好きだったんですけどね…。

問題構成。
問①…小問、サイゼリア
問②…矢印、マクドナルド
問③…排反置県、モスバーガー
問④…茶の置換系、高島屋
問⑤…限カイらばーず(ロボカイいいですよね)、吉野屋
問⑥…ふりーどりひたん、店に入れさせてもらえなかった

サイゼリアは弱いから頑張ろう。
問③、時間に注意。
問④、今回の最難だったと思う。
文字を書けるスペースを残すように。
⑤⑥は好きな店を選べばいいと思うよ。

物理の構成。
力学と波動。それだけ。
適度に解法を揃えておこうね。わりと実験的でした。
問題文を見て怯んじゃだめだよ。
問③の回答用紙を見たときは、電磁気きた〜!なんて思ったよ。(大ヒント)

英語は聞かないでね、これだけは弱いんです〜。

まぁ長いようで短いから、一緒に頑張ろうね。

  • No.130 by 匿名ゆき  2015-05-15 23:20:37 

シニカルな視線


もの言わぬ傍観者の眼。
人はその視線の有効線分を分解して、さも自身に突き刺さっているかのように置き換える。
平行条件を破り捨ててまで、何らかの被害を受けている気にならなければ気がすまないのだ。

一度でも、実態のない害を取り込んでしまったことがある人はもう戻れない。
弱さに付け入る透明な冷笑。
何と戦っているのかと問われても、答えることが出来ないのは自身の見映えが悪くなるからだろう。
歪んだ苦言を溢して、場所を濁したところで羞恥心は収まらない。
だが、眼の持ち主が遊具を奪い合うとき隙が生じるために、人は一時的な解放に慣れてしまい同じことを繰り返し続けている。

だから、話しかけても黙っている人に出会ったとき、無意識的に負の印象を呼び起こすのだ。
被害を受けている気持ちになることはおかしなことではなく、むしろ当然の反応だったわけだ。

  • No.131 by 匿名ゆき  2015-05-16 11:42:03 

うーん、最近のなやみ


浪人生のお友だちが出来ないこと。
ぴりぴりしてる人と、朗らかな人の間で勉強してると分離しちゃいそう。
"隠れ"中二病の人たちとゲームセンターに乗り込みたいなぁ。

いやぁ、あの問題難しいよなぁ。
そうか?図形的にアプローチすれば大したことないだろ〜。
図形は苦手なんだよなぁ。

みたいな他愛ない会話をしたい。

  • No.132 by 匿名ゆき  2015-05-17 10:26:21 


xy平面上で
点A(x,y)と点B(1,√3)として、それぞれ
α=(A点のベクトル)
β=(B点のベクトル)とする

α、βのなす角をθとすると、αとβの内積は
α・β=|α||β|cosθ
⇔1・x+√3y=1・2・cosθ

-1≦cosθ≦1 であるので
x+√3yは、M=2,m=-2

  • No.133 by 匿名ゆき  2015-05-29 01:03:31 

2014年3月 爆発

僕は爆発が嫌いだ。しかし残念なことに、同意するものは一人もいなかった。
芸術性を模索する連中なんて問題外だね!

彼等は悪魔に取り憑かれたように現象を観察している。
曰く、芸術を越えた先を目指したいそうだ。馬鹿馬鹿しい。
くる日もくる日も実験を繰り返しているので、爆発音にも慣れ始めた。
材料費はどこから賄われているのだろう。
ある日を境に爆発音が変化した。「パシャ」「カシャ」と明らかに違っている。
少し注意して聞いてみると、爆発音ではなくシャッター音だと判明した。爆発には懲りたのかもしれない。

それから数日後、僕の学校に無数のカメラマンが現れた。彼等が問題を起こしてくれたのだろう!
研究室まで嬉々として向かうと溢れた記者にインタビューを求められたが、何も答える事は出来なかった。

爆発音とシャッター音、響き渡る歓声を背にして、振り返る気力すらなかった。

  • No.134 by 匿名ゆき  2015-07-14 17:09:50 

理大か上智。

  • No.135 by 匿名ゆき  2016-02-22 11:21:54 

遠き日の約束は果たされた。
遠慮なく花束を受け取ろう。
理大に進学します。

  • No.136 by 匿名ゆき  2016-07-16 12:23:13 

「数学の話」

大学で学ぶ数学は面白い。
特に集合論は抽象的で面白い。
ある対象がまた別のある対象に属している、それもまた何者かに属している。
無限とはなんなのか、無限には濃度という概念が存在して
一般的に扱われる無限という言葉でも、数学では異なることがしばしばある。
対角線論法はその無限の違いをはっきりと表している。
対角線上に存在する数は、悲しい目で僕らを覗き込んでいる。

  • No.137 by ミシェル  2016-07-16 21:46:29 

だれか背中かいて かいーの

  • No.138 by 匿名ゆき  2017-05-22 17:41:26 

御惚けた電極の接近

この前の、雲に隠れた月の泣く夜、幼少時代を歩くための通行証を拾いました。
そこには何も書かれておらず、白い紙切れ一枚を持って佇んでいる自分を見つめなおすと、何故かは分かりませんが微笑んでしまいました…。
既に持っていた名刺の肩書きを塗り潰し、街に潜んだ夕方の落とし物を集めていると、艶やかで…しかし透き通った瞳ももつ女性と出会いました。
彼女は僕の言葉を拾い上げると、音を溢さずに…美味しそうに頬張って堪能し…僕をじわじわと虜んでいきました…。

次第に僕が呼吸をするだけで、彼女が目の前にいるようになるものだから…言葉を交わすこともなく直接僕を送り込んでやったのさ…
彼女が消化不良を起こしている間に、括れに両手を這わせる…記念品の割れ物を扱うように、壊してしまわないように上から下まで磨き直してあげたんだ…
絡み付く呼吸からは熱のこもった糸が出来上がって…Catenaryを描いて地面へ垂れた
その地面だけ粘り気を帯びたので、風が吹くたびに砂がそこへ媚り付き…透明だった糸の姿を暴いてしまった

真夜中の公園のブランコの揺れを止めることなど、出来るわけがなかった…

二人は夜中に根差しあい、朝日に覗き込まれたところで漸く夢から覚めたのでした…♪

  • No.139 by 匿名ゆき  2017-07-30 15:52:22 

自惚れに溺れた望遠鏡

曇天模様の空の下で、一人佇み傘を開く機会を待っている。
広すぎる空を覆い隠せるあの傘を、閉ざされたままにしてしまったのは僕なんだ。
雨が降ってもあの傘が開かれることはなかったが、彼女が雨曝しになることもなかった。

不安になるような望遠鏡の使い方はしないから、安心してほしい。
In seeing there is love,
in being seen there is abhorrence.

自業自得なのだろう、君の言葉に触れ、差し伸べた手が結局は自分のためだけだったのではないかと疑い始めるときりがない…
だから俺は誰にも話すことなく一人で寂しくなり、苦しくなり、時間に身を委ねる他ないのだろう。
罪悪感の狭間に生じるこの感情は、僕には無縁のものだよ、と自分に言い聞かせて眠りにつく。

  • No.140 by 匿名ゆき  2017-10-21 08:45:22 

Maple Leaf Rag

時間から独立した言葉は、それはきみ、もはや枯葉だよ

  • No.141 by 匿名ゆき  2018-11-05 22:53:31 




                

僕は君のことなんか大嫌いだ。
いつも自分勝手に僕を連れまわして、僕を利用して、使えなくなったら何処でも好きな所へ行けという。
こんなに僕の気持ちを搔き乱して、以前にも増して訳も分からず飛び出さなくてはいられなくなった。
秋が来るたびに僕は君が意地悪く枯葉を踏む音を思い出す。
しかしそこに君はいない、君はそんなことしない。
君は存在しないのだから。
僕の何処を探しても君はいなかった。

僕は僕のことが大嫌いだよ。
口だけは達者で、世界観だけは作るのが上手な僕が嫌いだ。
中身のない、実体のない、幻影の、理想だけしか追わない僕が死にたくなるほど嫌いだ。
糸口が見えず縋るように読み続けた哲学も文学も、僕を酷く惨めな気持ちに落とし込むだけだった。
ただの記号の羅列の方がむしろ暖かくなってしまうぐらい、文体は僕に先端を突き付ける。
何も知りたくなかった。
大嫌いだ、僕の表象を他人に話してしまう君なんて、
僕は何処にも君を誘い出せなかった、空っぽの世界だけを作り上げ続けて、気が付くと作ることだけに夢中になっていて、君のことなんか見ていなかった。

なのにどうして、口を半開きにして思い切り涙を流しているんだ。
天井が見える、ぼやける、どうして嫌いな君のことばかり思い出してしまうんだ。
もう二度と言葉を交わさないと決めた途端に、無意味な会話をし続けたことを思い出してしまうのは何故だ。
こんなに安っぽい言葉を並べて、吐き出したくなってしまい、過去へ戻る僕が本当に大嫌いだ。
僕の人生は2014年を繰り返し続ける。

  • No.142 by 匿名ゆき  2018-12-24 21:41:24 

僕自身の希死念慮について話したことは、正確に話したことはあっただろうか。
煙に覆い尽くされるような緩やかさなど無くて良い、締め付けられるような苦しみも無くて良い。
自らの選択であったなどと思われなければ何でもいい。とはいえ不慮の事故に見せかけるように特別努力をするわけではない。
波打つ崖の上、太陽光の届かない高層ビルの下、笑顔を振りまく対向車線、錆び付いた線路…
向こう側の寂しそうな表情…早く来てほしいと懇願する彼ら。
没入感、叩きつけられて…煩いヘッドライトを浴びて、血飛沫をあげる…。
あぁ、僕はいつまで彼らを待たせ続けるのだろう。ごめんね。
意図せず痙攣するような事態、在りもしない神経病を信じ込んで僕は彼らに微笑みかける。
君、早く僕を絡め取ってはくれないか。

  • No.143 by 匿名ゆき  2019-04-17 09:48:47 

僕は生存の意味や価値の一部を彼女の中に見出だしている。僕は彼女を見続けている。僕の生には彼女が必要なのだと思う。深みのある群青色が僕の涙と嗚咽に刻み込まれてしまうぐらい、僕には彼女が必要なんです。これは別に自分に言い聞かせようとして呟いているわけじゃない。至って自然な作用、僕の情動であるので信じてほしい。しかし僕はあまりにも重苦しい感情を彼女にぶつけてしまっているのではないかと心配になる。目まぐるしく移り変わる風景の根底に共通して存在する、彼女だけが持つ湿度は僕の心を惹き付けて離さない。肌の内側まで入り込んで、結露した水滴が僕の血潮に混ぜ込まれる。絶え間無く流入されていないとどうにも気持ちが落ち着かない。僕は彼女が好きだ。暗闇を模索し続けた彼女の言葉には、僕のそれよりも遥かに重みがあるように感じた。彼女にしかない絶対的なものがそこにはあった。熱情的な気持ちが冷めることはなく、君の位置に他の何を持ってきても不適なのだ。君に会えて良かった。これからもそう思い続けると確信している。僕の隣にいてほしい。僕の言葉が嘘だと、偽りだと、誇大表現だと…至言の限りを尽くした気になって誰かが僕を揶揄しようとも、真は僕の中にある。眠れない日もあるぐらい好きだ。僕はまた君から受け取った香水を身に付けて、君に会いに行く。

  • No.144 by 匿名ゆき  2019-06-12 01:00:34 

生存

その日は少し気が抜けていたのかもしれない.
金切り声を上げて倒れこむ二台の自転車と,鈍痛.
咄嗟に僕は謝った.
僕には自分に非があるか考える前に,取り敢えず謝ってしまう癖がある.
そして次に,自分に非が無いからといって相手に非があるとも限らないと考えてしまう.
空間の秩序が崩壊しそうな雰囲気を察すると,先ずはその空間から整えることを意識してしまう.
結局,僕が悪いか,誰も悪くないかの二択になってしまうのだ.
僕が悪かったのだろうか,悪かったとして何が悪かったのだろうか.
存在していることか?
返ってくるのは,気を付けろという怒鳴り声だけだった.
僕から何か言い返すことはない.

僕は自分が電柱ならよかったのにと思いながら,過ぎ去っていく自転車を後にした.
別に電柱を単なる意思のない物体として扱っているわけではない.
実を言うと僕は電柱が羨ましいぐらいなのだ.
何処までも張り巡らされた黒い籠目で空を,自然を割き,人の心を結びつける重要な役割を担っている.
何気ない地上の中で常に意識されない存在だが,確かに存在しているのだ.
樹頭にのみ枝を持ち葉を持たない灰色の木の上で,夕陽を浴びて鳴く籠の中の鴉.
十字路の真ん中に敷いてあるマンホールの溝が作る僅かな影.
用途不明の記号.
僕らが普段吸っている大気にも,意識できないだけで無数に多くの実在が含まれているのだと誰かが話していたのを思い出す.
存在していても,何も言われたりしない.
勿論僕も何か言うつもりはない.

こんな日は思い切って公園で過ごすのも悪くない.
いや,きっとその日,僕は公園に行かなければならなかったのだと思う.
鉄棒の角に出来た蜘蛛の巣は,昨日の雨粒を首飾りみたいに並べている.
蜘蛛も蜘蛛の巣も苦手だけれども,その首飾りが僕には少し美しく見えた.
蜘蛛の巣に滴る雨雫に指先をあてがい,それを擦り?けた皮膚に塗りつける.
癒えた気分はしないし,癒えるとも思っていないけれども,その透明な雫は少しだけ僕の生を満足させた.

人は僕のしていることを見ると,殆どの人は無意味なことをしていると言う.
意味があることだけはするのか.
意味が無ければ何もしないのか.
意味が無いかもしれないことをし続けるのは,それほど可笑しなことなのか.
可笑しいのかもしれないが,きっと僕はそういう人間で,そういった選択肢を取り続けてしまうのだと思う.
下らない,下らないと言いながら,階段を上ってしまうのだと思う.
終わりのない階段だろうが,飴細工で出来た階段だろうが,雲で出来ていようが,関係ないんです.

あぁ,僕は大気に含まれる実在のように,対象の存在性を責めない透明な存在になりたかったのかもしれない.

  • No.145 by 匿名ゆき  2019-06-14 16:18:41 

麻酔

「具合が悪そうに見えるけど.薬でも飲んだら.」
「いま,薬は切らしているので….それに市販の薬で治るようなものじゃあないですよ.」
「ならこれはどうでしょう.」
一枚の光ディスクが七色の光を放つ.
中心の小さな穴から私を覗き込む黒い瞳が怪しく微笑みかける.
音楽療法か…環境音を詰め込んだ音楽を聴いたことはあったが,あまり効果的であったとは思わなかった.
猫の爪痕をなぞりながら話を聞いていると,唐突に鞄の奥へ詰め込まれてしまった.
「ありがとう.試しに打ってみるよ.」
ひと時の,麻酔ぐらいの気持ちで体に流し込んでみようと思った.

KENSO Anesthesia Parts 1 and 2
https://www.youtube.com/watch?v=CrFNOXbPouE

  • No.146 by 匿名ゆき  2019-06-16 12:02:18 

使命感

最近,私は既存の概念に愛を注ぐことを許されていないのだと思うようになった.
既存の理論,既存の音楽,既存の文学.
何か新しい概念を生み出さなくてはならないという強迫的な観念に支配されている.
同時に,解放感を求めることもある.
自分にさよならを告げることのできる場所を探し求めて歩いている,散歩とはそういうものである.
其処彼処に在る既存物が一つの表現を指示しているが,私はそこに新たな価値を付与しようとしてしまう.
指示詞は私にとっては何時でも可能性を帯びた流体であるから,国語や英語の試験は苦手だった.
正解でなくてはいけない理由が分からなかった.
きっと道理は存在しない,正解を求められていることは分かった.

欄外に書けば正解でも注意され,世の中は例外に厳しいのだと思い知る様になった.
一つの規範に描かれている人間像に従う人間が正しいとされているが,その規範が正しい保証はどこにもない.
だから自ら破りに行こう,というのは論理の飛躍である.
生きづらさを感じながらも,ある程度は嗜みを忘れず人と同じようにしていないと,箱の中に閉じ込められてしまう.

自分のしていることは間違いなく価値があることだと思っている.
私が直感で確信したものは,間違いがないと思っている.
しかし,そんなことをここに書き連ねる自分は何とも気持ちの悪い存在だと思う.
思考がまとまらず,支離滅裂な内容だし.

その価値は金銭的なものでもないし,学術的に優れたものでもない.
それでも価値があると思っている.
本当に無価値ならつらいと思うことは,きっとない.
つらい.

  • No.147 by 匿名ゆき  2019-06-16 23:00:17 

>> 思考の周辺とか、暇潰しに書いていきたいな。
>> 勉強のこととか、本や音楽とかも。

勉強のこと

理解できるように噛み砕いた説明であっても,数学的概念を他人と共有することは難しい.
理解できない説明法では尚更である.
ゼミに配属された同期の様子を見ると,根源に至ろうという態度が全く見えない.
しかし,それで構わないのである.

私が何か数学的な話をするときは,多くの場合厳密な定義を一度自分の内部で液化させ,見栄えのいい形で再構成することを心掛けている.
定義定理証明の連続で嫌気の指さない人間はほんの一握りであり,病的に厳密さに固執する私の方が気が狂っているらしい,大学に入学してもなお私を見かけると揶揄する人間が複数いた.
というわけで厳密さを欠いた表現を用いることになるのだが,このような表現で世界を展開していくことは,数学ではとても難しい.
世の中には「数式の無い」だとか銘打たれている不思議な数学書が存在する.
読んだことがないので分からないが,創意工夫を張り巡らせているか,若しくは駄作かのどちらかなのだと思う.
読み手の前提知識に応じて説明を流動的に変化させなければならないのだが,書物に質問しても返答はない.
基本的に独学で数学を身につけるのは難しいと思う.
だから私は流動的な知識を身につけ,世界の果ては見通すことが出来なくとも,周辺で起きている出来事は完全に把握しているような,流体のような存在になりたかった.

一見単純そうな「数列」という数学的対象がもつ「列」という概念も「写像」「順序」「整列可能性」などの概念に分解され,今まで考えもしなかったような問題を生み出すことがある.
数列とは,ある規則によって定まる数の並びのことを指すのだが,モノが並ぶとは一体どういうことなのだろう.
そもそもモノの集まりには,最初から順序など定まっておらず,並びがないという意味では同一視されていると考えることが出来る.
順序とは,ある意味,私たちがモノに価値や意味を与えた結果生じるものである.
それは例えば{A,B,C}というアルファベットの集まりにおいて,各アルファベットのピクセル量で順序を定めたとすれば,おそらくB>A>Cという順序が定まる.
{1,2,3,…}などの集合は,暗黙の了解的に1<2<3<…という順序が定まっているとされているが,そうではなく,もともとは「1と2のどちらが大きいか」という疑問に答えることのできない,順序の定まらない集合が存在していると考える方が都合が良い.
このようにして,単なる並びという問題も,案外奥深いということが分かるだろう.
順序概念はとても面白く,数学では「束」という概念に発展するがここでは触れない.

もちろん,こんな話に興味を持つ人間は少ないと思うし,また数学をしている人間でも最初の方に通った道なので取り分けて興味を持つとは思えない.
では何故私は,このような基礎的な内容に関心を抱くのだろう.

一つはある概念が生成される契機に関心があるから,なのだと思う.
今の例でいえば,自然数という並びを持つ集合を注意深く眺めると,順序という概念が独立に切り出せる.
数列だって単純な数の並びだったはずなのに,写像と自然数によって定められていることが分かってくる.
ある概念が生じるにはそれだけの理由が存在し,その生成の瞬間に起きる現実や幻想との摩擦が美しいのだと思っている.

二つ目は構造主義という思想である.
哲学的な話も数学同様前提となる知識を読み手に要求することになってしまう.
例えば「構造主義は実存主義を批判した」という文章を読んだところで,実存主義のことを何も知らなければ,これは何も言っていないのと同じである.
構造主義が批判したことは「実存主義の持つ,価値観の押し付けという側面」である.
もう少し言えば「実存主義は,実存主義を生んだ西洋の持つ構造が主義の生成に大きく関わっているのではないか」という批判である.
簡単に言えば家が違えば,しきたりも違うし生き方だって違うよ,という話しである.
実存主義は実存主義で,資本主義の発展に伴い個人に生じる不安,個人の主体性の喪失,社会に飲み込まれる恐怖などから逃れるための生き方を模索する方法を考える主義であるので,実存主義が悪い,というものでもありません.
ただ,すべての人間が「被投性」という,自分の意志とは無関係に世界に飛び出さなければいけない性質を理解し,自分の道は自分で選ばなければならないという「先駆的決意」を抱け,というのは無理があります.
そして実存主義は,ここから溢れた人間を「頽落的」であるとして受け入れません.
実存主義は不適合な生き方しかできない人間に救いを与えない.

別に,構造主義も救いを与えるものではないが,実存主義とは異なり,優しさがある.
意味が分からないと言われると思う.
私は自分でも無体物に対して優しさを覚えるのは可笑しいと思いながらも,その優しさが好きなのである.
数学には数学を成立させる構造である公理の妥当性を研究する,基礎論という分野がある.
そこで公理として与えられたものには,存在を許す優しさがある.
内包性公理,外延性公理と呼ばれるものを人間へ適用して説明しよう.
内包性公理とは,あなたがあなたであることを,言葉で規定することで示すことが出来る,という規則である.
外延性公理とは,あなたがあなたであることを,あなたの内面を列挙することで示すことが出来る,という規則である.
公理的なものは存在者に許可を与える優しいものだと,私には思えるのだが,別に僕はこれを誰かに押し付けようとは思わない.
内面に隠れた構造を調べ,その構造を測るうちに,構造を表現しうるものを具象化することに関心を抱き始めた.
それは可視化であり,文章化であり,つまりは抽象から具体への遷移である.

構造は確かに一意的に表されるものであり,それ単体で見ても美しい.
しかし私たちはしばしば,視覚的に表された幾何には構造が「隠れている」というような言い方をすることがある.
実際,様々なモノに構造が隠れているのだ.
さっきの数列や自然数がいい例である.
では逆に,例えばある系から生み出される抽象的構造物を一意的でなくとも視覚的に表現することも可能なのではなかろうか.
それも,その構造が美しく在るように表現を与えることが.

数学は存在を探求する.
私は数学をしているとは言い切れない,数学科の人間ではないから.
存在者に服を着せるのが,私のしていることかもしれない.
私は寄り道をし続ける.

  • No.148 by 匿名ゆき  2019-06-17 09:04:04 

黄色の線の内側

黄色の線の内側で、列車が到来するのを大人しく待っている。
重たい頭の重心がぐらついている。
笑顔になれ、幸せになってねという親の声が聞こえる。
白い綿毛がふわふわ、辺りで踊っている。
強風に煽られ不規則な動きをしている。
僕は誘われているのだと思った。
しかし、その瞬間、物凄い勢いで綿毛が僕に体当たりしてきた。
僕は生きていていいと言われないが、死んでいいとも言われない。

鬱の診断を受けてみたら、重度という判定が出た。
その診断には「以前まで興味関心を抱いていたものが極端に少なくなり、1、2つ程度の物事にしか手がつかない」という質問が含まれていた。
僕が僕であることは、何なのだろう。
僕は何だったのだろう。
今は、本当に、自分が消えてしまわないようにするので精一杯で、自分が好きだとか、それ以前に自己が喪失してしまうことが純粋に恐ろしい。
これを恐れることは、可笑しいのだろうか。
助けてほしかった、許してほしかった、駄目だった。
自分は自分でしか助けられない。

こんな、病気のような私だから、誰かから認められることはないだろう。
病気は隠さなくてはいけない、自分を隠さなくてはいけない、見せてはいけない。
私の中に存在していたはずの感性が消えかかっていて、苦しい。

  • No.149 by 匿名ゆき  2019-06-18 09:46:05 

夕日性 (2018/9/01-21:43)

夕日は私の手中にもあるのだろうが、手中にある夕日を他人に伝える方法を知らない。
仮に説明できたとして、説明しきった頃には夜になっているはずだ。
夕日そのものを伝えることは、恐らく誰にもできないのだ。
しかし夕日のもつ性質…夕日性についていくつか思うところを挙げてみるのはどうだろう?
それぐらいなら私にも出来るかもしれないし、そうしないといられない私がいるのも確かだ。
ならば少し夕日について掘り下げてみるのも悪くない。
もっとも、"それぐらいのこと"と言いながら、内心では全くそう思っていないのだが…。

まずは夕日と絡むと考えられる幾つかの芸術様式について話すことにしよう。
結論から話せば夕日は【形而上絵画】的であり、そしてその夕日は【ダダイスム】と【シュルレアリスム】の二つの様式を生み出しているように思っている。
3つの言葉について簡単におさらいしておこう。

【形而上絵画】とは、ジョルジョ・デ・キリコを代表とする画家たちの描く絵画のことである。
これらの絵画では、目に見えるもの、姿形のあるものを重視することなく、その背後に潜む…ある時は神秘的、またある時は真理的なものを捉えるために筆を走らせている。
この形而上絵画を描いたキリコという人間が面白い。
彼はニーチェやショーペンハウアーといった哲学者に傾倒した、実存哲学の種を蒔かれた一人なのだ。
形而上絵画というとき、私の頭にぼんやり浮かび上がってくるのはキリコであるので、彼だけに限定してしまってもいいかもしれない。
さらに言い加えておくと、私は晩年の彼ではなく彼が20代頃に描いた作品が好きなのだ。
彼の絵画の中でも、特にお気に入りなのは「街路の憂愁と神秘」である。
『現在、過去、未来のあらゆる宗教よりも、太陽の下を歩く人間の影の方が多くの謎に包まれている』という彼の言説からも、夕日を示唆しているような気がしてしまう。

【ダダイスムとシュルレアリスム】について。
これらは芸術史を少し追ってもらえると分かるのだが、実はこの2つの様式の成立にはキリコの多大なる貢献があった。
彼の没頭した哲学的思考は、後のダダイスム的思想に繋がり、彼の描く世界は、シュルレアリスム的思想に繋がった。
私はシュルレアリスト的人間であるから、ダダイスムとの棲み分けには気を配らなければいけないのだが…出所が同じなだけに区別が難しい。
しかもシュルレアリスムはダダイスムの中から分離して生まれているわけで、違いが分かりにくくなっている。
そのうえ、芸術的手法は何らかの偶然性に委ねている部分で似通っている。
しかしこの二つは明らかに異なっているのだ。

【ダダイスム】とは、理性を否定する活動を指す。
意識や作意を否定し、言語や作品から一切合切意味を奪い去る活動のことを指す。
既存の概念を破壊しつくした先に何が残るのか?
ダダイストはそんなことに興味をもっているわけだが、最終的に残ったものすらも自分の手で壊すか、取り入れてダダイスム(自己)を捨て去るか、二つの選択に悩まされ続ける。
一種の自傷行為のようにも思える。
日本作家でダダイスムを描いた有名な作家の一人に坂口安吾がいる。
彼の「いずこへ」という物語は、ダダイストの悲痛な自傷行為が映し出されているようで…同じ悩みを抱えている節があるのであれば読んでみる"価値"はあるかもしれない。
(むろん、その価値は後に否定されるのかもしれないが。)

【シュルレアリスム】とは、「シュルレアリスム宣言」という本のなかで『男性名詞。心の純粋な自動現象(オートマティスム)であり、それにもとづいて口述、記述、その他あらゆる方法を用いつつ、思考の実際上の働きを表現しようとくわだてる。理性によって行使されるどんな統制もなく、美学上ないし道徳上のどんなきづかいからもはなれた思考の書きとり。』『シュルレアリスムは、それまでおろそかにされてきたある種の連想形式のすぐれた現実性や、夢の全能や、思考の無私無欲な活動などへの信頼に基礎をおく。 他のあらゆる心のメカニズムを決定的に破綻させ、人生の主要な諸問題の解決においてそれらにとってかわることを目指す。』(Andre Breton, 1924, 巌谷訳, 1992, p.46) と定義されている。
日本語では超現実主義と訳されるが、これは超現実で区切るのが正しい。
代数的整数論が、代数的整数で区切られるように…。
日本では、シュールと言えば「不思議で、奇怪なもので、笑ってしまうもの(不安を感じてしまうもの、と言った方が分かりやすいかもしれない。)」のように捉えられている。
これは通俗的な言葉になっているため、今更修正することはできない。
だから僕たちはシュールとシュルレアリスムを区別して語らねばならない。
では、どのような違いがあるのだろうか?
これは私がシュルレアリスムを感じるときの話になるが、確かに作品を見て「不思議だ、奇怪だ」とは思う。
だが作品を鑑賞して、笑ってしまったり、不安を感じた時、それらは原因不明なものでなくてはいけないものだと思っている。
不明瞭な感情の揺れ動きを理性的に説明されることがあってはならない。
上の定義を私なりに言い換えれば、通常、理性によって処理されるであろう出来事を、無意識や偶然性を駆使し、時制や順序などといった因果関係を一旦綻ばせ、再縫合するような作業をシュルレアリスムと呼んでいるのだと考えている。
日本作家でシュルレアリスムを描いた作家の一人に安部公房がいる。
だが彼はシュルレアリスムだけを描いているわけではない。
「赤い繭」などを読むと、形而上学的な自問自答が繰り広げられていることが分かる。
つまり彼は、夕日でもあるのだ。
だから僕には夕日である彼を、他人に伝えることが出来たという実感が沸いてきた経験を持ち合わせていない。
彼の作品にシュルレアリスムの技法を用いた幾何学的な補助線を降ろす悦びを伝えるのは、とても難しいことなんだ…。

3つの単語をおさらいしたところで、私はこれらを繋ぎ直さなくてはならない。
だが、まぁ慌てることも無いだろう。
折角だから、シュルレアリスムとダダイスムに対応しうる音楽について語ろう。
【シュルレアリスム】に対応するのは【プログレッシヴ・ロック】だと思っている。
これは私が勝手にそう思っているだけだから、様々な意見があると思われるが、基本的にプログレが文学的で詩的であることに疑いを持つ人はいないと考えている。
私がシュルレアリスムにプログレが対応すると思っている理由は、この二つに共通する性質、"不明瞭な物差し"にあると思っている。
何をするにしてもそれは"そう"なのか、ということを病的に意識せずにはいられなくなる。
自分だけの危うげで繊細な物差しで物事を測らずにはいられなくなる。
(注意してほしいのは、自分の物差し"だけ"で判断しているわけではない点である。彼らは部分的には独り善がりでありながら、意外に他人の意見には寛容なのだ。)
悪徳から得られた刹那的衝動に溺れる享楽者を常に脳内で踊らせているくせに、何事もないように振る舞い生活する。
日常に潜む作為的な微笑みを見つけては、それらをレシートの裏に書き殴る。
あらゆる物体・現象の中継係を担わされ、それらの間に線を結ぶ際に必然的に生じる粉末を楽しんでいる…。
このような感覚が両者に共通していると思われる。

【ダダイスム】に対応するのは【パンク・ロック】だと思う。
僕はパンクを好んで聴くわけではないので、話半分に読んでもらえるとありがたい。
これは上記の対応よりは分かりやすい。
二つの間に共通するのは、既存の概念を破壊することであるからね。
型に嵌まった自由や理想を押し付けられることへの反発。
抑圧された感情の解放。
暴力性の誇示。
彼らはカタルシスを感じているのかもしれないが、気が付かない内にカタルシスに対抗できなくなっていく。
原因が自身にあると分かった時には手遅れで、二律背反な感情で自分を保つのが難しくなっている。
自己矛盾的な存在ゆえに、この二つは衰退していったのだと思われる。

ここで面白いのは、ダダイスムからシュルレアリスムが生じたのに対して、音楽史を見てみるとプログレが先に存在してパンクが生じたという、順序関係の入れ替わりにある。
破壊に対しては創造を、創造に対しては破壊を…と、見えない天秤が釣り合いを取ろうとしているように感じられた。

さて、夕日性の話に戻そう。
私は、夕日性を破壊と創造の、一見相容れることのない概念の混合物のように感じているのかもしれない。
混合比は恐らく人によって異なるが、その比率がどのように決定されるかについては私の中では結論が出ていない。
夕日は存在を一時的に透明にする。
影だけを浮かび上がらせて、自分が何者であるのか考えさせる。
見るも憐れな自問自答と宣言を繰り返させる。
無意味だとは分かっていてもそうせずにはいられない。
何故なら、意味のないことを繰り返すなかに破壊と創造の種が隠れているのだから。
書くこと、生きること、その他あらゆる活動は等しく無意味なのだろうが、私はこれからも夕空に溶けながら「悪くないな」と納得し続けるのだろう。



…これを記述した当時は,上記の思想や音楽に心から熱中していた.
この頃は,私特有の気楽さというか,心に余裕があったような気がする.
適当さがあったような気がするよ.
今も好きなのだと思う.
しかし,何か音楽や思想の話をしても,演技じみているというか,ぎこちなさを感じてしまう.
好きなものを好きと言っていいのか分からない.
必死に好んでいるふりをしているような感覚,好んでいいのか分からなくなってしまってから取り戻すふりをしているような感覚.
数学への感情と,夕日性のみ残して消えていった自己.
今はこれだけが私で,これを否定されてしまったら,もうそれは私ではない,私によく似た機械になってしまう気がする.

  • No.150 by かささぎ  2019-06-19 15:56:09 

discordも君のラインアカウントも消してしまったので、ここに書きます。
今は自分では冷静な状態だと思っています。
全て君のせいだったというつもりも、全て私のせいだったいうつもりもないです。
また、もう引き留めたい気持ちもないです。そんなことしても無意味だから。

ただ関係性をこのまま見ないふりをし続けてうやむやに無いことにしていくのもどうかな、と思います。
別れるならきちんと清算するのがよいのではないでしょうか。
他者と新しい関係を築いていくためにも、自分のことに集中するためにも。

  • No.151 by かささぎ  2019-06-19 17:39:56 

自分の意向を表明せずに、決断を委ねて返事を急かしていたのが今まで君の負担になっていたのかもしれません。
なので先に私の気持ちを示しておきたい。

別れましょう。
ここ数日間の君の態度で、君のなかには私と一緒にいたい気持ちがないのだとよく分かりました。
私は私を避け続ける人に好意を人に続けられるほど懐の広い人間ではありません。


早く書けと急かすつもりはないですが、返事は待っています。

また、もしも君が私から思想や小説音楽に関する嗜好を抑圧されていたように感じていたなら、それは残念です。
私は君の嗜好を尊重したいと思っていたし、親しくなったきっかけも芸術や小説の話をしたことからっだったのだから。好きなものは好きだと言えばいいし求めればいいと思う。君の精神なのだから。

諸星大二郎の漫画は郵送か人伝で返して下さい。
友人にも布教したいと思っているので。

  • No.152 by 匿名ゆき  2019-06-19 19:08:52 

僕は君の前で,自分の好きな何かを話すのを恐れていました.
好きなものを話すと,自己愛に結び付けられてしまい,単に君がそれを好んでいるだけで,私は別に好きではない,といった表現に類似する言葉に接するたびに,僕は何かを言うのが怖くなりました.
抑圧だったのではないかと思います.

僕が君の傍にいてはいけないのだと思うようになりました.
君と別れようと思います.
出会い立ての頃の話までされてしまった以上,僕には何も言い返せません.
最初から,と言われてしまった以上,微塵も信用されていないのだと思うと,涙が込み上げてくると同時に,マウスのカーソルの様な白い紙を見付けた時の君の表情や,大学前で憂鬱な気分で,笑い飛ばすことも出来ない現実に悲観にくれながら,やつれた君の横顔を思い出したりしてしまいます.
私の行動は確かに,君を遠のかせるようなものでしたが,名残惜しさなどとは似ても似つかない感情が一日中繰り返し現れていました.
他の人を選んでいたら,という言葉を見たり,君が名状しがたい感情を寄せていた人間に対する言及を見たりするたびに,早く飽きたいと言われるたびに,世話係だと言われたりするときに,僕が何か変わらなければならないのだと思うようになりました.
それもきっと君であり,それも全て含めて大事にすることが,僕にはできませんでした.

僕の言葉は君の前で全て嘘になります.
君は僕の信じているものを,信じることはありませんでした.

今まで僕が君の前から離れようとするたびに,僕は君のためを意識していました.
結局は自分のためなんだろうと,世ではよく言いますが,違います.
ただ今はもう,違うんです.
僕の心が持ちませんでした.

君への言葉,思い,感情が君の前で全て空しく消えていくのが,無意味にされてしまうのがどうにも耐えられませんでした.
いつも,待たせてばかりでごめんね.

本は郵送します.
返答はいりません.

  • No.153 by かささぎ  2019-06-19 20:31:39 

ごめんなさい。
返答をさせて欲しい。

私の意識していなかったそんな言葉までが君を傷つけていたとはしらなかった。
後悔でずっと涙が出てくる。
私は本当に君のことが好きだなのに、相手もそうじゃなかったらどうしようと思うとずっと怖くて、特別なのだと言って欲しくて、ずっと試すようなことを言い続けていた。

別れようと打った瞬間でさえ、そういう願望があったと思う。

私は君が好きです。今も好きです。飽きることはありませんでした。
名状し難い相手に抱いているのは嫉妬で、君や好意とは関係のないものです。

ごえんなさい。傷つけてしまった。

  • No.154 by かささぎ  2019-06-19 20:41:08 


私は君のプログレへの拘りの強さから、素人が嗜好を示してはいけないような気がして、無関心を装っていました。
私は佐井好子やzabadakが好きだけどそれはきっと君にとっては邪道だと思ったから。
そして確かにプログレを一番好きなジャンルだとは言えないけれど、プログレを好む君の嗜好は好きだったと思う。

  • No.155 by かささぎ  2019-06-19 20:48:32 

いざ別れの言葉を目にすると、今まで死のうとした時も感じたことのないような感情がこみ上げてくる。
仕方ないのだと気持ちを整理できるほど大人になれず、君を傷つけても君のそばにいたい、いさせて下さい、と頼んでみるほどエゴイスティックにもなれず、どうすればいいのか自分でもよく分からない。

そこまで君を憔悴させてしまったことを申し訳なく思う。
そして今まで私の絵や文章を好きだと言ってくれたこと、一緒に廃墟探索に行ってくれたこと、何気ない時間に手をつないでくれたこと、とても感謝している。


  • No.156 by かささぎ  2019-06-19 20:53:34 

私は多分他の人を好きにならない。
猜疑心の問題ではなく私の嗜好の問題で。

多分、今まで生きてきた中で、私は一番情けないことを言っていると思うのですが、
もう期待はできないけど、君とまた交流を持てる日が来たらいいなと淡く思いながら、今後もひとり生きてくと思う。

  • No.157 by かささぎ  2019-06-19 20:58:05 


いつか、自分のことを深く傷つけた人間ともう一度関わってやっても良いと君が思ってくれる日がもしも来たら、そのときはまた声をかけて欲しい

  • No.158 by かささぎ  2019-06-19 22:12:19 

もう君が見ているのかも見ていないのかも分からないけど、付き合っている間君に言っていなかった心情を言おうと思う。

私のなかにあったのは、君に変わって欲しいという気持ちではなく、自分は変わらなければいけないという焦燥感でした。

物理をやらなければいけない、物理に興味を持ちたいのにできない焦燥感は上位互換くんへの言及に繋がりました。
君に依存的になってしまった自分に嫌気がさし、もしもそんなに好きではない人を選んでいたら……などとよく考えていました。君に飽きたら…も根っこはそこにあります。
世話係という言葉も、他人に世話をされている自分に向けた自虐的な言葉だった。

また私の中で君の元彼女の存在が大きく拡大され常人離れした魅力や能力を持ち合わせた何かへと変貌し劣等感で押し潰されそうになり、この誇大妄想を絶ちきらなければと思い、実際の彼女に会いに行きました。
彼女に魅了されていたからではなく、君との関係性を改善したかったからでした。

プログレに関しては前述した通りです。
自己愛と結びつけ~、はピンク・フロイドのCDをもらった時のことだと思います。
ピンク・フロイドは君と元彼女にとって思い出深いバンドだったみたいだから、私も彼らの曲を好まないと愛されないのだろうかと、とても怖くて、なぜ私にそれをCDを与えてまで勧めたのかと詰問した覚えがあります。
君の嗜好を抑圧する意図は全く亡かったのだけど、ごめんなさい。

君がかけてくれた言葉全てを信頼することはできませんでした。
信じたいのに怖くて不安になって、自分でもどうしようもできなくなってしまうことが多かったです。
でも、整形は止めようかなと思い直したこと、浪人生そして大学一年の間止めていた絵をまた描き始めたこと、幻想を好んでいてもよいのだと思えたこと、君に褒められた長い髪をよく手入れするようになったこと……少しずつ変わったことはありました。だから、君の言葉全てが無意味だったという事はないです。

この二年間、私は君から色んなものを受け取っていたと思う。

自分の気持ちを色々と素直に言えなかったのは、私の勇気がなかったからです。

  • No.159 by かささぎ  2019-06-19 22:19:22 

切実に一週間前に戻りたいです
別れようと送った五時間前でもいいから、戻りたいです
できることならもう一度、君の方の校舎でお酒を飲んだ日に戻りたい
なぜ好きだと早く言ってくれなかったの、と言うくらいなら、あの日私が好きだと言えば良かったのです

  • No.160 by 匿名ゆき  2019-08-03 03:53:40 

多世界解釈

『幽霊は存在すると思う?』
四年前の放課後,自習室に向かう僕に声がかかった.
「どうだろう.いてほしいなとは思っているよ.」
『ふ~ん.』
「ここじゃない世界なら存在を認められていたかもね.」
彼女は何か不満そうにも怪訝そうにも見える表情で僕を見つめてきた.
やっぱり幽霊がいてほしいなと思うのは変なことなのだろうか.
それとも幽霊とは量子,量子的な状態の重ね合わせのメタファーだったのだろうか.
エッシャーの作風に影響を与えたペンローズの三角形,そのペンローズは量子脳理論という一見トンデモ話を展開している.
死後,意識は脳から出て拡散し,別の生命体と結合し生まれ変わる,などと話しているらしい.

近年は放送連盟の奴らがうるさいからな.
彼らの方でも顔を出せない事情があるらしい.
其処彼処に幽霊が存在していることが証明されたら,肩身の狭い思いをするのは僕達だというのに.
まぁ,好きなだけ迫害するといい.
不法投棄の瞬間を一瞥される気まずさに比べれば,幽霊を蔑ろにすることは気にならないらしい.
科学の一分野では存在性の曖昧な対象を平気で取り込んでいる.
案外科学的なものの方が霊的なものを無意識のうちに肯定しているのかもしれないね.

物理学…彼女は宇宙創成の一瞬に起きた出来事に強い関心を抱いている.
物理学とは他の学問と比べてどう異なるのだろう.
数学には形而上学的理想への接近がある.
我々には数1を感じることは出来ない.
物理学は数学とは異なり,現実的で感覚可能なものを記述する学問なのではないだろうか.
感覚可能なものが先に存在し,それに対応する数学的表現は単なる記号に過ぎないのではないか.
いや,数学的概念が先に存在し,それに則る形でしか存在しえないのだろうか.
朦朧とした単調な歩みの中で絶えず疲弊を繰り返し,原理と構造の相互浸透の過程で何を見るのだろうか.
これはきっと理論物理学と数理物理学の関係に置き換えられる.
彼女が前者で僕は…

「不思議だね,ずれてるのにこんなに惹かれ合ってしまったなんて.」
『君が一方的に僕のこと好いているだけだよ.』

  • No.161 by 匿名ゆき  2019-08-30 13:12:03 

死体一覧

ゆき,紅葉,海月,誤り,都会

  • No.162 by 匿名ゆき  2019-08-31 00:50:54 

八月二十一日 日記

 昨日は午後一時から午後十時頃まで数学の個別指導をしていた.夏期講習期間には通常授業で担当している生徒二人の他に,もう一人だけ教えることになっている.普段教えている二人は中学三年生と高専一年生,夏期講習に顔を出している生徒は中学三年生.前者二人とはそれなりにコミュニケーションが取れているのだが,後者に関しては全くと言っていいほど会話が成り立たない.ここでの僕の役割は数学を教えること以前に,生徒一人一人の主体性に耳を傾け,意思を尊重することにあるのだと思っている.だからこそ,この現状を打破するための案を考えているのだが,どうにも思いつかない.壁中にびっしりと貼られている合格者数を大きく書いたポスターが笑っているような気がする.狂気的でない空間など殆ど存在しないとはいえ,ここよりはましだと思える場所ぐらいいくらでもあるだろう.日頃面倒を見ている中三生の授業を終え,一息吐こうと校舎の玄関に向かった僕は人通りの悪そうな薄暗い細道に沿って歩き出した.

 午後三時.気が付くと前方に鳥居が見えてきた.境界を潜った先で八幡社の旗が微風に揺らめいているのが分かる.蒸し暑く,じめっとした大気が頬に纏わりついてくる.緑を貫いて流れる透明な風の壁が僕に体当たりしたとき,クラゲの様な実体のない僕など一瞬で吹き飛んでしまえばいいのに,と思った.標高の高い場所はここよりも涼しい風が吹いているのだろうな.きっと,僕の体は何処までも浮上して,地上から離れた空中で窒息死する.星になった暁には破裂したクラゲの傘を一本手に取って,緩やかに青々とした深海へ沈んでいきたい.何処までも深く潜った先で僕はリュウグウノツカイの背に乗って,月まで届く塔の内部を貫いていくんだ.月の光が流れている….ピアノの幻想的な音色が水中に溶けている.深く,深く,群青に染まる….しかし僕を乗せた深海魚は突然風に変わり,再び木々を貫いて僕を降ろしてしまった.いま,僕は風に打たれた自分が空中に浮かんでいくのを眺めている.このまま惚けていたら自分と鉢合わせてしまうのだろうか.死ぬのは嫌だ.殺すのも嫌だ.僕は僕の中から消えたふりをして生きていこう.透明になろう.あぁ,だから僕は僕より先にここに来ているはずの自分たちの姿を捉えることができないのか.何だか以前より自分の体が軽くなっているような気がした.思ったより時間が経っていたみたいだ.参拝に来た人々も境内を一周して戻ってきていた.後生短そうな老婆の鼻をすする音.その老婆の背中に暖かい手を差し伸べる中年の男.錆びついた時間がブロック塀に張り付けられている.誰も手を差し伸べてはくれない.僕も戻ろう….

 午後三時四十五分.重い足取りで校舎へ歩き出していた.信号が変わるのを待っていると前方右側にドラッグストアがあるのを見付けた.次の授業は五時からだから,まだ寄り道するぐらいの時間は残されているだろう.みぞおちを締め付ける焦燥感を抱えながら店内の薬棚の方へ向かった.目的の品の前で立ち止まり,手に取っては離して,少し遠くの飲料水コーナーを眺めに行き,再び商品を手に取っている.そんなことを繰り返しながら,これから担当する中学三年生のことを思い出していた.協調性がなければ攻撃性もなく,主体性も矜持もあまり持ち合わせていないように見える生徒.計算過程を省略しないように何度お願いしても,何故か省略してしまう.分からなければ「分からない」と言ってくれて大丈夫だからね,と語りかけても無言のまま時間が過ぎてしまう.敵意など微塵も含まないように細心の注意を払いながら簡単な質問をしても,一瞬体を震わせて黙り込んでしまう.そのたびに彼の精神を傷つけているのではないか心配になる.

ふと,僕にも同じような経験があったのを思い出した.高校二年の範囲の数学を塾で教わっている時間,予習復習もせず問題の意味すら分からないのに出席だけはしていた頃の記憶.出席していたのも純粋に理解したいからではなく,きっと,受験勉強をしている集団の中から溢れ落ちるのが恥ずかしかったから.定着しなかった原因が自身にあることはよく分かっているが,それでもこの時の担当講師A川はとても恐ろしい存在だった.A川は生徒たちに精神論で数学を解かせるような講師だった.ここでいう精神論とは,数式や図形に美的感覚を見出すといった数学の精神領域を語るものではなく,本気になれば数学は理解できる,というような一種の根性論に近いものである.A川の授業で唯一役立ったと思えたのは三角方程式の解の個数を求める問題の解法を教わったときだけで,それ以外では独自の訳の分からない発想を延々と聞かされ続けた.解けないときは決まって本気ではないからだと言い続け,教室は常に緊張していた記憶がある.今思えば受験数学ですらなかったと思う.どれだけ一部の人間に効率が良かろうが,生徒を置き去りにする授業展開をする気はない.

 受験までにはきっと間に合わない.だから僕に出来ることは受験対策ではなく,分からないことが分かるようになっていくあの喜びを体験してもらうことである.与えられた中三生用の問題には触れず,今は小学五年生の簡単な計算から確認している.分からなければ分かるところまで戻ろう.分からないところが分からなければ,分かりそうなところを一緒に探そう.何処までも戻っていこう.研究は孤独でも,勉強が孤独だというのは嘘だ.

 ただ,先生は魔法使いでもなければ,革命的に他人の人生を変えるほどの力も持ち合わせていない.ちょっとだけ人生に刺激を与えることが出来るかもしれないだけなんだ.僕は見覚えのある薬に手を伸ばし,窓の向こうで降り注いでいる大雨が止むのをほんの少しだけ期待した.

 午後四時四十五分.騒めき立っていた僕の精神が青色の雫に変わり,それが等間隔で透明な液体の中へ沈んでいく.絵の具のように拡散しながら液体全体を染めていく.窓の向こう側で轟いていたはずの雷鳴も収まっていた.騒めきの存在は感じる.感じるがそれを優しく包み込んでくれるような安らぎがあった.頭に入ってこなかった数学書の内容がすっと入ってくる.数式の伝えたがっている内容や,内包している思想が流れ込んでくる.後はただ縫合していくだけでよかった.ミシンで一つの衣服を縫い上げるときのように,完成形への接近を夢見るだけでよかった.蝙蝠傘との不意な出会い.落ち着きを取り戻した僕は次の授業に向けて準備を始めた.

 午後七時.中三生の授業を終えて一息.室内が他の個別指導者の声でうるさくなってきたので再び校舎の外へ.口笛を吹きながら近場の自販機で大好きな天然水を購入する.私の喉を潤す天然水.私が恋焦がれている存在の好んでいる天然水.いくら私の心が青色に純化されようとも,辺り一面の人間が液体に溶け込もうとも,誰にも融け込まず決して見失わない程に群青色な彼女.初めて世界で二人きりになったと思った去年の三月の出来事を思い出していた.観覧車を降りた私たちはウォーター・アトラクションで少しだけ距離を置きながら揺れる水面を眺めていた.彼女を物質的に見る必要はなかった,というのは言い訳に過ぎず,実際は彼女の方に顔を向けるのが照れ臭かったのだ.お酒を飲んで少しだけ緊張が解れた感覚.お互いの言葉だけが月の下で融けていく感覚があった.私は一体いつまで「君」と呼び続けなければならないのだろう,と思った日もあった.遠くの場所で咲いている孤高な百合の花.私は彼女との逢瀬のたびに命の灯火が強く揺らめくのを感じていた.この身が焼き焦げてしまうほどに常日頃僕の脳内を震わせ続ける彼女の遠くを見つめる視線….気が付けば七時半,次の授業の時間だった.

 午後九時半.高専生は授業の進みが早く,一年の段階で既に三角関数まで学び始めている.数学ではなく物理の授業ではベクトルの概念まで導入しているという.将来は情報系を専攻するようなので,出来る限り嘘を教えないようにすることを心掛けている.一年生は将来設計までに猶予があるから教えている分には気楽だ.大学に編入するにせよ,そのまま高専を出るにせよ,今の時期はがむしゃらに挑み続けていてもいいような気がする.級友とプログラミングでドローンを浮かせて遊んでいるらしく,話を聞いているだけでも微笑ましい.誰か,一緒に何か始めないか.少人数で集ってワイワイしながら怪しいことをするのはなかなか楽しい.別に技術的なことでなくても,何でも良い.一時期大学の庭にミステリーサークルを作るのを考えたりもしたが,流石に軽犯罪になりそうなのでやめた.

 夜,布団に潜るとやっぱり少し落ち着いていられる.眠れそうな気配さえ感じるのはプラシーボ効果だろうか.書けなくなってきたので,今日の日記はここまで.

  • No.163 by 匿名ゆき  2019-09-09 02:14:22 

旅:信念,確信から確証への切符

『群集』という題の短編がある.
この物語は一人の青年が交通事故に遭遇したところから始まる.
辛うじて一命を取り留めた青年に,すかさず足音が迫ってくる.
それは群れを成し,まるで彼を閉じ込めるかのような檻を形成してしまった.
彼はその檻の中で,凄惨たる状況にも関わらず冷静に人の集う,その素早さに気を取られていた.
『何故彼らはこんなに早く集まって来られたのだろうか?』
もちろん野次馬精神に煩わしさを感じている心理描写もある.
自身が危機的状況に置かれている状態で,他人に一方的に覗かれ続けるのは不快なことだろう….

救急車に運ばれ事なきを得た彼は,数日間ベッドの上で眠り続けていた.
目を覚ました後も群集に不可解さを覚えていた彼は,恥ずかしながらも主治医に対して自分の思考を打ち明けた.
記憶違いかもしれないとは話すものの,明晰な彼が病院おくりにされる前に捉えたものは,事実であれば確かに不可解なものだと言えるもの―事故で大破した自動車の車輪が止まっていないのにも関わらず,彼の周りには既に何人も集まっていた(=)―だった.

物語の結末については,ここでは差し控えるが,私の興味を強く惹きつけているのはこの物語の終着点ではなく,彼の中に生じた疑念を確実なものに仕上げようとする彼の精神にある.
二週間後,彼は再び交通事故の瞬間に出くわすのだが,腕時計の秒針を確認しながら群集の構成されるまでの時間を計測する強迫的な姿には,ある種の人々の心を惹きつける魅力がある.
執念を持つ人間の行動には,熱意を持って物事に取り組む人間に似たものがある.
共通点は「確信」である.
信念ともいえるものかもしれない.

この物語の筆者はレイ・ブラッドベリという小説家なのだが,彼はエドガー・アラン・ポーから強い影響を受けている.
後継者である,とまでいわれているぐらいだ.
確かに『群集』の主人公とポーの物語の主人公やポー自身の思想を比べてみても,共通要素が多く見つかる.
冷静な狂気.狂気の自覚.

『構成の原理』というポーの詩論がある.
これは文学的創作においてどういったものが必要になるかを論考したものである.
これがなかなか面白い.
『大鴉』という有名な詩が,いったいどのように作られたかを作者自身でまとめたものなのだが,恐ろしいまでに論理的な過程を見せつけられ,高揚する精神を隠し切れず一人で笑ってしまった.
構造主義的思想がいたる所から窺える.
詩の形式的構造が詩の意味や精神性を決定する,とまで言い切る彼の,詩以外の物語を読んでみると分かる.
冗長性を徹底的に廃し,不必要な情報が全く入り込んでこない文章に美しさを感じてしまう.
無意味に空間の細部を描くことなく,必要最低限の基本的な道具のみで登場人物を引き立てていく彼の文体は,数学的阿片と呼ばれるに相応しいのだろう.

冗長性のある物語とはどういったものか,自分なりに考えてみた.
例えば,ある街から別の街へと移る際,前者の街が再利用されない限りは冗長性があるといえるかもしれない.
それは読み手に街の存在を『記憶』させてしまうからだ.
街の再利用を究極的に突き詰めると,それは結局一つの街,一つの空間だけで良い,ということになる.
その街だけで全てを始め,全てを終えれば良い.
固有名詞なども必要ないのかもしれない.
物語において名前が重要になるのは名前を使ったギミックが存在する場合のみで,特別名前を付ける必要はない.
『記憶』にこだわるとすれば,出来る限り登場人物を少なくするべきだろう.
この点から考えてみても,個を規定する情報についての補足など殆ど必要ない.

しかしポーの物語を読んでみると登場人物の個を強く際立たせているものがある.
それも,大量に登場させている….
「推理小説」は彼に最も適したスタイルだっただろう.
この場合,特出した個を見せびらかすことは,粛々と少数で世界を広げるよりも効果的であるのだと判断したのだと推察でき,彼は効果的な演出を促すためならば必要なだけ道具を公理として追加する手法を取っているのだといえる.
実際,彼は物語の終盤から書き始めるのだから,足りなくなれば後から足せば良いだけだった.

私たちが彼らの物語に惹かれるのは,確証に至るまでの信念や執着を抱く姿に自身を重ねようとするからであって,その内容や結果は本質ではないような気がする.
物語の内容ではなく,この場合やはり形式に惹かれているのだろう.
目的地に着くまでが楽しいと思える,旅や山登りのようなものである.
しかし,それを知っている筆者たちは山の頂上から流れる川を追うように文を追加していく.
海から山の頂上に向かうよりも自然に行えることは明らかだろう.
帰りの切符を買う際には,彼らの思考過程を思い出してみようかな.

  • No.164 by 匿名ゆき  2019-09-16 03:53:07 

BUGTRONICA

BUGTRONICAはスマートフォン向けのアプリで
バグった世界を徘徊するゲームなんだ。

キミはバグってしまっていて
むし を倒して右へ進まなくちゃいけない。

なんだかとってもこわいけど、だいじょうぶ。
きっといいことがあるよ。
元気がない人がやってくれたらうれしいな。


【レビュー】
暖かい。優しいとは異なる。
私が暖かいという言葉を使うとき、その言葉の指しているものに近い何かがここにはあったよ。

  • No.165 by 匿名ゆき  2019-09-18 05:51:53 

Le Dernier Homme

 いま,私は何処に向かって歩いているのだろう.あらゆる実在への個人的見解を率直に述べる勇気を喪失しそうな人間が一人.感情を排した,狂気的なほどに説明的な文を書き連ね,自己の不在に由来する空間の静寂を俯瞰し続けることが一つの使命として与えられる感覚.これは当初存在した使命感(No.146)とは異なるものである.しかし,もう少しだけ個人的見解を述べることが許されていそうな気もしている.

>>自分にさよならを告げることのできる場所を探し求めて歩いている,散歩とはそういうものである.

 私は私が私の中に不在であると仮定する.次に,私は私が私の中に不在であることを証明することを考える.それは私自身によって成し遂げられうるものなのだろうか.私には分からないが,私は私のことについて再び記述してみたいと思う.

 おそらく,私は私の中の部屋の中に固定電話が置かれているのを見つける.おそらく,私は私に電話をかけてみる.そのとき私は電話をかけ続けている.ならば私は電話をかけられ続けている.私は留守電を設定しているような気がする.私は私に書置きを,メッセージを残し続ける.それは数式の横にその数式を認識した瞬間に生じた感情を記すように,自然に.私は私へ書いたはずの書置きを,メッセージを撤回し続ける.それは美しい夕陽の出現や消失の気配に心を縛られ,使命感を前に殉じようとするように,自然に.

 私は私から電話がかかることはない.ならば,私は私に電話をかけることはない,ということになる.ならば,私は私の中の部屋の中に固定電話を見つけることができないのかもしれない.(これだけで私が私の中に不在であることを証明できたわけではない.)だったら,私は私の中の部屋の中に公衆電話ボックスぐらいは見つけたい.以降,私の中にこの箱が定義されているものとする.私はあの薄暗い箱を見つけると些か不安になると同時に,思い出のグラスが割れて,そのとき初めて現れる破片の反射光,その反射光が誘発させる偽りのない涙の透明感,そういったものを見出している.深夜二時の公園,普段明滅しているはずの箱の中の蛍光灯が大人しくなる時間,私はベンチに座りながら眠気と肩を組んでいる.離散的集合体が微睡む意識の中で連続的だが非統一的な実在として現前する.誰もが見て見ぬふりをする時間,固体と流体の中間領域,粉粒体が風に乗って私に到達し,癖になってしまうほど心地よい摩耗感を私に与え,私を攫ってしまう.やがて私は不在になり,公園は再び静寂を取り戻すことになるだろう.枯れ葉の騒めき,風に靡いたブランコの鎖の軋む音,遠くから聞こえる救急車のサイレン.初期値に鋭敏な世界から私という変数項が消失し,私は構造と独立する.

 このようなことを考えるとき,私はいつも自身の物理的な死についても考えている.不在になるとは死ぬことを指すのだろうか?とにかく私は不在でなくてはいけないような気がするのは確かだ.しかし何に対して?最近読んだ本の中に次の文を見つけた.

>>私はその瞬間に私の思考を集中した,そして私たちのあいだに真のかかわりはなかったにもかかわらず,私は自分が,たぶん一個の生きた存在にふさわしかったであろうような期待とか,用心とか,疑いとか,親密さとか,孤独などによってそれと結ばれていると感ずる空間の印象を抱いた――その生きた存在とは,人間存在か? いや,まだ人間ではなく,よりいっそうむき出しに晒され,より保護されていず,それでいていっそう重要かついっそう現実的な存在だ.だがこの空間が私にとって異質のものであったように,私を結び付けているものは私にとって未知であった.私はただ単に自分がそれに敬意を払わねばならぬと知っていた,いやそのことさえ,私は知らなかったのだ,ほかでもない,私はたぶんそれに敬意の荒々しい不在を払わねばならなかったからだ.

≪私たち≫
>>私としては,どんな対価を払われようともこの言葉の動揺を利用すべきではなく,その言葉に加担すべきものでもない,という感情.だが私は,軽やかさの幻影にひしと寄り添って,陶酔の狭小な頂上に身を保っていた,苦痛の歓喜の感情を抑制して,かつそれを抑制しないで.それは軽やかで,喜ばしく,奇跡的な軽やかさであり,聞こえるというよりはおのずと見え,きらきら光る球体で,自らの表面と混じり合い,絶えず成長し,その成長の中にも静かな球体だった.いささかも混乱してなどいない言葉の動揺だ,――"それ"が黙すとき,"それ"は黙しているのではない.私は自分を"それ"と区別でき,"それ"のなかに自分の言うことを聞きつつも"それ"の言うことを聞くことだけができるのだった,"それ"ははてしない言葉であっていつも≪私たち≫と言っていた.
>>この言葉からほとばしっていた一種陶酔めいたものは,この≪私たち≫から由来しており,その≪私たち≫は私からほとばしり,空間がそこに閉じ込められはじめていた部屋のはるかかなたで,私をして,私がその起点をあそこ,どこか海のほうに位置させていたあの合唱の中に自分を聞くことを余儀なくさせているのだ.
>>あそこにこそ私たちはみないるのだった,私たちの合一という孤独のなかに直立して,そして私たちの言うところのものは私たちがあるところのものを絶えずほめたたえているのだった.
>>≪私たち≫――は避難所である.


>>なぜおまえはぼくに信じさせておくのか,もしぼくがそう欲すれば,おまえが目に見えるものになりうるだろうなどと?なぜおまえは,ぼくのすべての人たちから隔てる.親密さの言葉のかずかずでもってぼくがおまえに話しかけるにまかせておくのか?おまえはぼくを保護しているとでもいうのか?ぼくを監視しているとでもいうのか?なぜおまえはぼくを意気阻喪させないのか?それは容易だろうに,なにか或る合図,もっと確固とした圧力,そうすればぼくはすぐにもこう言うだろうに――「よかろう,おまえがそう望むのだ,ぼくはあきらめるよ」と.だがおまえはただそこにいるだけだ,そしておまえのところまでいく言葉は壁に向かっていくことになり,その壁がそれらの言葉を,僕がそれを聞くようにぼくに送り返してくる.壁,ほんものの壁なのだ,ぼくの住まいを限り,それを一個の小房に,万人のただなかにおける一つの空虚にしている四つの壁だ.なぜか?ぼくが演じるべき役割はなになのか?ぼくはなにを期待されているのか?ぼくは静寂のなかに入っている,入ってしまっていたのではないか?いったいなにがぼくを静寂から引きずり出したのか?いったい静寂は破壊されうるであろうか?そしてなぜ,それが破壊されたならば,ぼくたちはそれのまわりに,ぼくたちが思い出せないあの瞬間,あの冷たい刻を見守り続けるのだろうか?それに,すべての人たちが見守っているというのはほんとうだろうか?たぶんたった一人だけが,たぶんだれも,たぶんぼくたちはなにものをも見守っていず,たぶんぼくたちはみないまだに静寂のふところに抱かれているのだ,ぼくたちが絶えず行き来するあそこに,つねにいっそう不安定に,いっそうもじもじと落ちつきなく,だがそれでいて,それは深い憩の呼吸であるのだ.

忘却,死,永遠
>>思い出すことと死ぬことが――たぶん死んでいることが――一致するような一瞬がつねにあると.それは同じ一つの動きであるだろう.純粋な,方向のない思い出であり,そこではすべてが思い出と化す.記憶から死ぬためにはそれを自由に手に入れることができさえすればよい大いなる力.だが自由に手に入れられえぬ力だ.そのとき自己に向かって想起するためのうまくゆかない試み,しりぞき,忘却を前にしてのしりぞき,そして思い出す死を前にしてのしりぞき.

これらをまとめて,とはいえ抽象的な要約なのだが,私は次のような心象を抱いた.
不在でなくてはならない理由:≪私たち≫の高尚さに安寧を求める集団を,無遠慮に傷つけうるから.
何故傷つけてしまうのか:ある種の個人が≪私たち≫を前にしたとき後述する壁が現れるから.
壁とは何か:実在性の不透明さがもたらす分離の象徴であると同時に,強い誘引力をもつ,相反する性質を兼ね備えた生物的な概念.
不在でなくても構わない場合はないか:≪私たち≫からは不在であることを望まれるが,壁をもつ個人間ならば不在であることに固執しなくて構わないかもしれない.
忘却:見ることと話すことの中にある.見ること,話すことを忘れること.話すこと,汲み切れなかった=忘却された言葉を汲み切ること.自身が忘れられていること,自身が忘れていることを整理する.また,同一化幻想,永遠の憧憬=幸福の幻影に対する反抗.

私にとって不在は死を意味するものではないかもしれない.不在という形式も他人との距離感として認められる日は来るのだろうか.

※モーリス・ブランショ「Le Dernier Homme」「L'Attente, l'oubli」より引用.

  • No.166 by 匿名ゆき  2019-09-19 12:38:32 

新着メッセージが一件

よかったら,(散らばった)僕(のどれか)と友達になってください.
あなた方が呼べば僕はそこに現れます.
関わりたくないときは関わらなくていいです,僕もそうだからね.
一方向からただひたすら,暗号めいた文章を発信し続けているのは,そういう意図があるからです.
あなた方も終域の定義されていない写像を持っているのであれば,不特定多数に暗号を発信してください.
そのような終域に,たぶん,私がいます.

いつか,音楽の話をしようよ.

  • No.167 by 匿名ゆき  2019-09-19 18:53:16 

不明

君はこの先を読まないでほしい
君を大事にしたい気持ちは本当なんです
君にだけ読んでほしくないことがここに書かれている
君にだけには読まれたくないから、僕は書かなければいけない
君だけが特別であることを示すために、僕はここで君だけを省かなくてはいけない


























例の本について、僕は急げとも慌てるなとも言えないし、ただその時を待つぐらいしか権利がない、いや、正確には何の権利も持っていない
待ちたいとも、待つ気なんてさらさらないとも言えない
僕の言及が君と例の本が不自然に接近してしまう、または不自然に離れてしまう、つまり自身が干渉してしまうことが僕はとても怖い
君は僕がこのような回りくどい話し方をするとき、君と何か他の存在の間に生まれる何かが、僕という存在によって、僕の言及の存在しない世界、本来的なものが不自然なものになってしまうかもしれないという恐怖を感じないのだろうか

君は自他の境界がはっきりしているように見える、だから平気なのかもしれない
他人の意見は他人の意見だと思えるかもしれない

自分が例の本について一切言及できないというこの報告すら、一種の言及であり、僅かにでも影響を与えてしまうかもしれない

僕は君が例の本を読まずにいるのが怖い
僕は君が例の本を読んでしまうのが怖い
このどちらが起きるのか知りたくないから、僕は今ここで完全に消え去りたいと思うぐらいだ

僕は読み終えたかもしれない
僕は読み終えていないかもしれない
僕は冒頭しか読んでいないかもしれない
僕は最後の一文を読んだかもしれない
僕は何も読んでいないかもしれない

君にとってはっきりしていることは、僕は君の前で最初の一文を朗読した、これだけだと考えるかもしれない
しかしこれは君にとって、本当にはっきりしていることだろうか
僕は嘘をついて、その文をでっちあげたかもしれない

僕はここでこの文を書くのが飽きてきた
僕は飽きていない
僕が何処まで嘘をついていて、何処からが本当のことなのか探ったりしなくていい
僕はただ、対消滅させる必要があると思う
そして対消滅させる必要があるという言葉をここに書いた瞬間から、その必要はないといい始める

僕は結局君に謝り続けてしまう、ごめんなさい
ここには本の内容が書かれていたかもしれないし、書かれていないかもしれない
















































君がこの最後の一文を見ていないことを願いたい

  • No.168 by ポートフォリオ  2019-09-19 22:27:31 

晦渋ですよ。晦渋。

  • No.169 by 匿名ゆき  2019-09-22 00:16:05 

No.88 音楽ゲーム考察 追記

あれから5年経ち、数多くの楽曲が追加された。
依然として私は私からプログレという音楽ジャンルを切り離すことに失敗し続けているが、この長い年月で様々な楽曲に触れてきたので、追記を試みてみようと思う。

まず、「音楽ゲームと私」という一対一の関係が崩れ、「音楽ゲーム、ユーザー、私」という構図が生まれた。
ここではユーザーという冷たい言い方をしているが、これはもっと狭くいえば音楽ゲームを遊ぶ友人のことである。
受験期には殆ど誰とも関わることなく一人で熱中していた私も、大学に入るとすぐに友人ができ、金銭面での困難はあったけれども度々一緒にゲームセンターへ遊びに行くようになった。

好きな曲を繰り返し遊びがちであった私には、彼らの好みの楽曲の中に私が遊ぶことのなかったであろう好みの曲調の楽曲を探すのが楽しみだった。
彼らからすればお金が無いのに着いてきて鬱陶しい場合もあったかもしれない。
しかし、お金の無い私の事情を気遣って、あまり高額そうなお店を避けてくれるのを見ていると申し訳ない気持ちでいっぱいになり、二年次にとうとう人生初のバイトを始めた。

人生経験を豊かにしようという目的はなく、彼らと遊べる十分なお金と、個人的関心を潤してくれる書物や、大きな計算機が欲しいというのが背景にあった。
この年、私は再びポップンミュージックを始めた。
知らない楽曲も結構増えていたが、元の地力に戻るまでにはそう時間はかからなかった。
しかし、元の地力より少し上手くなった程度で切り上げ、今度は一番難しいとされている弐寺という機種を遊び始めた。
この弐寺という機種には、パソコン上で動くBMSという無料のシミュレータが存在しており、私は5年前このシミュレータをよく使っていた。

私の関わっていたサークルでも弐寺を遊んでいる人間が多かったが、私は少し遊ぶのを躊躇っていた。
というのも、BMSはキーボードをデバイスとして用いることを強制し、ゲームセンターに置いてある筐体とは全く違う環境でやらなければならなかったからだ。
皿曲と呼ばれる楽曲群はキーボードで遊ぶことが出来ず、ゲームセンターでしか遊ぶことができなかった。
皿曲が人並みに出来るまでには1年以上もかかった。
諦めない心と計画を立てることが大事です。
この皿曲と呼ばれるものから紹介しようかな。

  • No.170 by 匿名ゆき  2019-09-22 21:27:43 



彼も言及しているとは思わなかった。

  • No.171 by 匿名ゆき  2019-09-23 11:04:49 

散歩

精一杯。
比較、比較、比較、比較、比較、比較、比較。
人、車、金、語、流れ。
流れているだけ、流れの構成要素としての私達。
ある文の解釈が文脈に依存⇔影響するように、ある単語の解釈が言語体系に依存⇔影響するように、ある人間の解釈はすべての人間に依存⇔影響する。
誰も彼も記号的で、思考は記号に即して行われ、そこに内包物の存在なんて信じなくなるか、盲目的になるか、どちらかしかないじゃないか。
曖昧な領域は存在を許されず、全てが白黒はっきりしないと、しかし白いといえば黒い、黒いといえば白い、わからない。
認識に誤りはつきもので、誤り続けてしまう私は存在を許されない。
許されない存在は人と一緒には暮らせない。
一人不要という感覚。
私は不要でなくてはいけなかった。
誰からも余分であると、そう思われるように仕向けなければいけなかった。
だから私は必死に誤り続ける、いらないと言われなければならない。
私は存在しないものの味方です、不在でなければならないものの味方です。
早く、ここから消えなくてはいけない。
なんてうまく人っぽくやってこれたのだろう、いままで。
分からないよ、壊してまでなにをしたかったか。
誰の目にも映らないか、誰の視界にも存在する透明なものになるかしないといけない。
さようなら。

  • No.172 by 匿名ゆき  2019-10-10 06:03:02 

どうして僕はこうも自己中心的なのでしょうか.
形式や構造,概念という言葉にこだわり続け,目の前にいる人々をあまり真正面から見ることがなかったと思います.
自分が他人と比べて特別尊い,というような意識はなく,寧ろ外界からの重圧や期待に押しつぶされてしまうのではないか,という不安が私を掻き立てていることがあったのは事実です.
望まれる自分であるため,そんなことのために僕は君を利用,とまでは言わないものの,傷つけてしまったことは間違いないです.

確かに,一人で過ごす時間のなかでは,自己が拡充されていく心地良さはあります.
けれど,難解なものごとを解釈して蓄えたところで,君が見えるようになるわけではありません.
知覚の扉を開いているような人,卓越した表現力をもつ人,容姿端麗な人.
君の周りの人や語る人々には,僕にないものを持っていました.
僕はそれほど自己評価が高くないので,焦りを感じていました.
透き通った目でそれらを見つけ,見出す君自身にも,君が語る人々にも嫉妬していたのかもしれません.

君に見出されたい,という意識が過剰に膨れ上がってしまい,少しだけ音楽を始めてはやめ,絵を描いてみてはやめ….
僕は唯一の取り柄であると自負している有限体の構造を応用した技術である符号理論を,それを専攻している人並み以上に理解しなければならない,と焦っていました.

僕は自分が嫉妬していることすら,昨年の冬頃まで君に対してあまり明らかにしていませんでした.
男の嫉妬は君からみれば気持ち悪いのだろうという意識と,束縛的な態度は君を疲弊させてしまうだろうという意識から,常にこらえ続けていました.
好きだと言えなかったのは,恥ずかしさや,断られることに怯えていたからでした.

君との会話は,言葉の表面だけ取り出せば棘のあることもありましたが,あまり人の寄り付かない森林のなか,公園に置かれた長い滑り台を滑り抜けながら風を切るような心地良さがありました.
たとえ鎌鼬が頬を切っても,あたりの葉が木枯らしに乗って僕の前に降り注ぎ,傷口を塞ぐかのような.

夜,雨嵐のなか,素朴に咲いている百合の花,咲き誇っているわけではないが,明るすぎず暗すぎず.
辺りには誰もいないけれど,どうしても僕の目にはとまってしまった.
そのとき僕の懐中電灯は君を照らしていて,周りは真っ暗な煙に包まれていた.
気が付いたときには,僕の手元は君のほうだけを向くようになっていた.

僕はこんなことが言いたいわけじゃないんだ.
僕はただ,初めて会ったときから理知的で可愛らしい人だと思っていたことだとか,何かとちょっかいをかけてくるけど,その全部が楽しかったことだとか,実際京都に行ってしまったらきっと物凄くへこんでいたであろうこととか,緊張と君が前にいることの嬉しさをごまかしながら秋葉原を巡ったり…廃墟探索は本当に楽しかったんだ,行く前からずっと楽しみにしていた.

僕は君を独り占めしたくてしょうがないのだと思う,ずっと前からそうだったのだと思う.
遠く離れていることや専攻が違うことで,独り占めできないことが,僕にはとても苦しかった.
君はとても魅力的な人だから,それだけ僕は不安でした.
遠くにいるのだから仕方ない,ということを,必死に自分に言い聞かせるように,君の前でも悔やむような言い方をしていました.
もっとそばがよかった.
君のことは僕が支えていきたい,僕は君のことしか好きになれません,君のことが一番好きです.

[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:その他のテーマ







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック