主 2013-06-22 18:50:00 |
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――邪魔だ、退け。
(退屈な授業が終了した途端に騒がしくなる教室。窓の外ではいつの間にか雪がちらつき始め、はしゃぎ出す生徒達が尚更煩わしく感じられる。静かな場所を求めて廊下に出れば、そこでも固まってくっちゃべる生徒達。よくもまあそんなに話す事があるものだとある意味感心しながら通路を塞ぐそれらに冷たく一言放ち。そそくさと逃げるように道を開けながらもちらちらと此方を気にする生徒達に煩わしそうに舌打ちすれば、また歩みを進めて。─…久々に訪れた学校は酷くつまらない印象を与えた。気が付くと病室のベッドの上にいた自分にそれまでの記憶が無く、目覚めた当時は全身を襲う痛みに堪えるのが精一杯で、自分自身に関する記憶さえ定かではなかった。ある秋の日歩道橋から転落したらしいが、事故当時誰と居たのか、何処へ向かう途中だったのかさえ思い出せず。後から聞かされたのは髪の長い女と一緒だったという事、しかしその女とどんな関係だったかさえ分からない。思い出そうとする度襲い来る頭痛に、いつしか考える事を放棄するようになってしまっていた。人を避けるように自然と足が向かった先は屋上。この天候と寒さでは他の生徒がいる筈もなく、漸く一人になれた解放感からゆっくりと息を吐き出すと、曇り空から舞い落ちる雪をただ見つめて)
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