【ﾘｱﾙﾀｲﾑ】今だけ話したい人の創作なりきりルーム

……君がそう言うなら。
( 添えられた手は温かく、後ろの髪を通る指は心地よくて、やや脱力しながら身を任せ。空いた手を相手の背中に添わせることは許されるだろうか、少し戸惑いながらそっと触れ。労わらせてほさいなどと言いながら、結局甘やかされてしまっている。微睡める程のむず痒さに思わずあたたかいなあ、と呟いていて )
主、……困った。
( 私こそ、と口を挟もうとして、真っ直ぐにこちらを射貫く橄欖石の色に押し黙り。主の言葉をゆっくり噛み砕いて、やがて眉を八の字にしながら淡く頬に紅走らせ )
とても嬉しい、嬉しいよ、主。私は、きみの役に、立てているんだな。ああ、今なら何だってできそうだ。

もちろん、
( 戦闘時は毎回先陣を切って、敵方を斬り伏せてくれる相手はいつも心強く、頼もしく、密かに自分もあれぐらいの力があればと非力な自分を省みて、マスターにあるまじき憧憬を抱いてしまったことも一度や二度ではないが……、今、頬を僅かに染めている相手は実に愛らしく、たまにはこういうのも悪くない。思わず、ぎゅうと抱き締めれば )

あ、そうだ。
( と言って、急に腕の力を緩め。突然の思い付きを楽しそうに口にし )
できそうと言えば、前の任務の前に仕込んだフルーツのラム酒漬けをすっかり忘れてた。もう使える頃だと思うから、今日はそれでクッキーでも焼こうか？

( 即座に返ってくる肯定が、私をどれだけ安心させているのか、私をどれだけ満たしているのか、彼は知っているのだろうか。彼は弱い、弱く儚い人の子だ。だから初めは、私が守らなくてはならないと、傲慢とも言える意識で仕えていた。主の心に救われていたと気付いたのはいつの事だったろうか )
っ、ある、じ
( 込められる腕の力、己の行き場を失って空を彷徨う手が主の背中越しに目に入り。きゅう、と胸の辺りで息が詰まる感覚。まずい、と思った。早く蓋を、 )
ぇ、あ……ああ。君の作るものは、とても美味しいものばかりだから。
( 離れる腕が名残惜しいなどと思ってしまう心を押し殺しながら、どうにか取り繕って。楽しみだと加えるものの、料理の領分では自分がやれることは本当にひと握りだ。少し力配分を誤れば器具を壊しかねない。しゅん、と尻尾が僅かに揺れたあと撓垂れる )

小麦粉が足りないんだ。
( あくまでマイペースに、にこやかな笑顔で告げると、次は相手の耳を軽く撫でて、 )

買い物、付き合ってくれるよね……と、顔、赤いけど、もしかして風邪引いてる？
( ぴたと手を止めて、相手の顔を覗き込むように。クッキーの話を持ち出した後の相手が少しだけ、元気がなさそうに見えて。最初、その朱色は照れているがゆえかと思っていたのだが、もし、具合が悪かったのなら、一大事である。如何にも心配そうに眉を下げ、 )

……いや、大丈夫だよ。私は丈夫だから風邪なんて先ず引かないし、もし風邪の予兆があるなら今頃私は君に会わないように手を尽くしているはずさ。
( ふ、と軽く一呼吸すれば、心配を掛けてしまったかな、と覗き込んできた主君に微笑みかけて。主と会話ができるこの姿はとても有難いが、嬉しさや照れを現す赤色が分かりやすく出るのは少し不便に思う。主に困った顔をさせるのが心苦しく、彼の頬へ手を伸ばしかけながら再度大丈夫だよと口にして )
さて、小麦粉だったね。行こうか、主。
( これなら役に立てる、と嬉しげに掌を見せて誘い )

それは寂しいな。
( 不調ではないという返答にほっとしつつも、続いた相手の言葉に困ったような笑みを浮かべ )

僕は君のマスターだ。調子の悪い時にも看病くらいさせてほしい。
( 少しだけ真剣に告げると、相手の手を取って、ぎゅっと握れば、次は張り切っているような笑顔で )
美味しいのを作るから期待してくれ。ついでに服飾とかも見てこようか？欲しいものがあったら、買うよ…！

君に風邪が伝染ったらことだ。君は私の主だけれど、私だけの主ではないからね。何より、君を病気にさせたなんて分かれば、私が私自身を殺したくなってしまう。
( 心配性は君の美徳だけれどね、と付け加え。自分はその心配の気持ちだけで風邪を吹き飛ばせる部類だから、元よりそんな心配はいらないのだけれども。 )
ああ、楽しみだ。……私を着飾らせる前に、君は自分を省みるべきだと私は思うよ。
( 何やら張り切っているらしい様子にくく、と喉鳴らし、彼の着古したと分かる衣服の裾をつまみ上げ )

それを言われるとつらいなぁ。マスターなら、皆に平等じゃないといけない……でも、正直、ちょっと贔屓したい子もいるんだ。
( 自分だけの主ではない、と言い切られれば、笑みを浮かべつつも、やや寂しそうに )

ミルに風邪を移されたのなら、それこそ口実に君にだけ看病してもらいたいね、僕は。
( 自身の服の袖をつまんだ相手の手を掴まえれば、その手を大切そうに両手で持ち直して伏し目がちに )

それは悪いことではないよ。付き合いの長さや深さ、性格の合う合わないはあって当然だ。
( 上に立つ者の辛さを滲ませる相手の慰めになればいいと。まあ、どいつもこいつも揃って主が大好きな連中ばかりだから、少しくらい扱いに差があったところで問題にはならないだろうけれど。しかし悔しさはある。その贔屓対象を手合わせでぶっとば……、打ちのめすくらいは許されるだろうか、と一考しつつ )
それは当然だろう、責任くらいはとらせてほしい。嗚呼でも、そうなると周りにとやかく言われそうだな。
( 風邪を伝染した上、マスターと付きっきりになるなんて！と騒ぎ立てる仲間の姿が容易に想像でき、肩を震わせ )

皆、可愛いんだけれどね。
( 自分がさっき誰のことを言ったのか、分かっていないような雰囲気の相手に、ふふ、と笑みを漏らし。そうとも、皆、可愛いし、大切である。建前は従者だが、実際のところはそんな一方的な関係だとは思っていない。皆、大事な仲間で )

だけれど、でも、やっぱり……
( 責任というちょっと堅苦しいくらいの言葉が、相手の真面目な性格を表しているようで、そういうところも好きだと思ってしまうのは行きすぎだろうか？ 思い立ったように満面の笑みを向ければ、改めて相手の手をぎゅっと握り )

出掛けよっか？ 服やアクセサリーを買うなら、皆にもお土産がいるね。一緒に選んでほしいんだ…！特に贔屓の子の好みが、僕には分からないからさ…！

……、ああ、行こう。
( 握られた手を引いて歩きだし。陽だまりのような満面の笑みに何故だか無性に、心臓を掻き毟りたくなった。彼の特別が己でないのをまざまざと見るのが辛いと感じる、自分の心の狭さを密かに自嘲しながら )
私もあまり詳しい方ではないから、力になれるかは少し不安だけれど。護衛と荷物に関しては安心してくれて構わないよ。
( いつになく張り切っている主にほっこりしながら玄関でブーツに足を滑り込ませ、後半はやや力強く自信ありげに述べて )

＊　＊　＊　＊　＊

( 如何にも田舎な住み処の村を抜け出し、町まで来ると、大きな通りには様々な店が並んでおり。小麦粉は重たいだろうから、最後に買おうと提案しては、男性が一人で入るにはやや居心地の悪そうなアクセサリーショップやマスコット売り場にばかり、全く臆せず子供のようにはしゃいだ様子で向かっていって。金色の髪留めを見つけると、それを指差し、笑顔で )

ミル、見てみて！女性物だけど、マルセルならこういうのも似合いそうじゃない？

( 周囲の好奇の目をものともせず進んでいく彼は見るからにはしゃいでいて、拠点にいるときとは大違いだ。本来なら彼のような若者が私達に縛られる道理などないし、友人とこうやって楽しむ時間がたくさんあって然るべきなのだ。複雑な気持ちで彼を追い掛けて、時折不埒な輩がいないかと確認を怠らずに )
マルセルに、か……ふ、いや、いいと思……くっ。
( 100パーセントの善意からの贈り物だ、嬉しい反面女性ものに喜ぶに喜べず眉間の皺を濃くする姿が目に浮かび。笑いを堪えるも、自分が恵まれている現状を思えば気の毒で、同僚のよしみで助言くらいは、と )
髪留めも素敵だが、彼はよく書き物をするから、筆やインクでも喜ぶだろうね。嗚呼でも、イナバはこういうものが好きそうだ。

そうか……。うん、それもそうだね！じゃあ、これはイナバに買い～と。
( 相手の助言を聞けば、素直に従い、店で用意されている小さな買い物カゴに商品を放り込めば、他のコーナーも物色して回り、途中でふと気付いたように相手の方を見ると、しみじみと緩く破顔し )

やっぱり、君は頼りになる。戦いの時ばかりじゃない。普段から周りの皆のことも気にかけてくれてるから、どんな時でも隣にいて貰えると助かるんだ……

( 唐突な科白にきょとん、と思わず瞬き。 )
勿論。私は君の忠犬で、番犬だ。好きに使ってくれ、何処へでも連れて行ってくれ。何があろうと、何者からも君を守ってみせるさ。
( あまり大きな声ではなく、しかし芯のある声ではっきりと言い切り、幾つか商品の入った籠を彼の手から奪い。誓いのような随分と面映ゆい言葉になってしまった、と照れ臭そうにその後頭を掻きながら )
さて、遅くなるとヴィランが動き出す。そろそろ小麦粉を買いに行こう。
( ここでは派手に動けない、何より今水を刺されれば主に見せられないものを見せる羽目になりそうだ。じとりと睨め付けるような視線を主に悟られる前に、主の自宅に戻ってしまいたかった。本当は、彼の萎びた衣服をどうにかしてやるつもりだったのに )

ふふ、頼もしいなあ。
( 茶化すように言いつつも、零した言葉は心からの本音で。カゴを取られれば、おっと、と反射的に躊躇うような台詞が口をつき、きょとんとした表情となったが、一拍置くと、相手が気遣ってくれたことに嬉しさが込み上げ、再び微笑んで )

ああ、待って。これだけ、これだけ…！
( 最後の買い物をしようと、踵を返しかけた相手を声のみで引き留めれば、密かに見繕っていた中性的でシンプルだが、品の良い黒のブレスレットと上等そうな紫色の絹のスカーフをどこからか持ってきて )

こういうの、もし、君が貰えたら嬉しいかどうかを教えてほしいんだ。その……参考にね？

おっと。
( 慌てた彼が急いで持ってきたものを認め、彼の｢贔屓したい子｣へのものか、と漠然と理解し。 )
ううん、私は君から貰えるものなら、なんだって喜んでしまう部類だからなあ。……しかし、そうだね。もしそれを君から貰えても、恐らくは私は身につけられないような気がするよ。
( 口元に手をやり、自分がその値の張りそうな二つを彼から貰った想定を考えてみるも、そもそも彼の特別とは前提が違う可能性に気づき。それでも想像を広げた先をぽつりと口にして )
以前君に懇懇と説教をされたけれど、私はやはり攻撃に自分を顧みない節があるようだから。ブレスレットは壊しかねないし、スカーフなんて敵の返り血に染まるかもしれない。主から貰った宝物が穢されるのは、我慢ならないから。

ん、そうか。
( 相手が答えてくれている間は、些細な感情の変化も見逃したくなくて、そもそも疑うつもりはないのだが……より正確に本心を掴みとろうと、無意識のうちに相手の目をじっと見つめて、聞き終えれば、少し視線を下方に落とし、静かに微笑んで。次に顔を上げれば、下記のように )

参考になったよ。ありがとう。……トイレに寄って行きたいから先に外で待っててくれる？

なら良かった。……できるだけ早く出てくるようにね。自分が狙われている可能性を常に忘れないでおくれよ。
( 離れるのは不安だが、流石に手水にまで付き合うのは主も嫌がるか、とやや渋りつつ。先に会計を済ませて店を出るものの、考え事は尽きず退屈はしなかった。例えば、自分の意見が参考になったというなら、主の特別は同じ前衛担当か、とか、あのスカーフが似合う者ということは無骨な男や小さな子供は除外されるな、とか。知らず険しい表情をしていたようで、耳を隠すためのフード越しに通行人が引き攣った顔をしているのが見えてしまい、ぐ、とそれを引き下げながら )

りょーかい。
( 心配してくれてる様子の相手の言葉に柔和な笑みを返し、冗談めかして小さく敬礼すると、自身は店の奥へと進んで行って。相手に見つからないように、さっきの品を購入し、綺麗に包装してほしいと店員に頼めば、その後、受け取ったものこっそりと自分の鞄の奥に入れ。店を出ると、やや険しい表情となっている相手に気付き、 )

やあ、ごめんごめん、待たせたね？行こうか。
( へらへらと謝罪の言葉を告げ、最後の買い物に向かおうと。内心では、さっき買ったものをいつ渡そうかと考えており。戦闘時のことを考えて身に付けられないのなら、それでもいい。また、休日を貰えた時にでも……いや、もっと、ストレートに言うのなら、デートの時にでも。付けてほしいとお願いするつもりでいて。そう伝えた時、相手がどういう表情をするかと想像しては楽しみでならず、相手の横顔を盗み見れば、無意識のうちに微笑んでしまい。さっき、相手に贔屓を肯定して貰えたことを思い返しては、静かに独りごち )

ふふ、……いや、悪いマスターかもしれないけど、悪いことじゃないと言って貰えて良かった。




(/可愛いミルちゃんと絡めて、こちらは大満足です…！遅くまでお付き合いをありがとうございました！名残惜しいのですが、そろそろ寝落ちしてしまいそうなので、勝手ですが、その前にここで締めとさせて下さい……。しつこいようですが、すごく楽しかったです！)