学園長 2020-07-27 03:34:38 |
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>24 / 錐生先輩
( 差し出した腕にまるで壊れ物を扱うかのような繊細な手つきで触れ、そして少しずつ己の血を飲み始めた彼を視界に捕らえれば安堵するかのようにいつの間にか詰めていた息を吐きだした。そして、この行動に至るまでに葛藤した彼の心の内に、苦く口元を歪めた。自分自身も他の誰かから血を吸う事を苦手としている、だからこうして誰かから血を受け取ることがどんな苦しい事か理解しているつもりだ。なのにその選択をさせてしまった事に関して申し訳なさを感じていた。しかし、自分の行動を後悔するつもりは微塵もない。それこそ彼の決心を罵倒することになるだろうから。)
――…、どうだ?ちょっとは楽になったとは思うんだけど。
>25 / 夜烏
( 逃げ出そうとした寸前、弱い力で握られた裾により足を止めざるを得なかった。しかし所詮は人間の女の子の力、その気になれば振りほどくこと等容易い筈なのに何故か彼女の表情を見てからはその気が一切起きない。此方に向けてくる表情は、恐れ――というよりも、困惑と申し訳なさを詰め込んだようなものだったから。そして彼女の口から紡がれたのは予想と大きく上回る、"綺麗"という単語だった。ルビーレッドの瞳を大きく見開き、はくはくと開閉する口から零れるのは吐息だけ。綺麗、だって?そんな。自分自身さえ忌み嫌うこの瞳を目の前の少女は綺麗だというのか。心底信じられないという表情を向けながら、必死に声を絞り出してぽつりと、)
き、れい……?――――っ、だってそんな。まるで血見たいな色じゃんか。こんなの気味が悪いとしか良いよがねえのに……。
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