通りすがりさん 2020-03-18 20:40:47 |
通報 |
>ジャック様
「……!申し訳ございません、つい…」
マスターは白衣の女の笑い声と貴方の態度で
正気を取り戻したのか、ぺこりとお辞儀をする。
「でしょ~?ギャップヤバイよね~♪
別の意味で」
白衣の女はまた楽しそうに笑い、カウンターの隅に置かれた灰皿を相手の前まで滑らせる。
「…」
投げられた吸い殻に反応したのか、黒い球体は口らしき部分から長い舌を伸ばして吸い殻を絡め取り、口へと放り込んだ。
「ほら、ゴミでも何でも喰うやろ?」
黒髪の青年は愉快そうに笑うのだった。
テーブル席に座っていた赤と青の双子が白衣の女の隣へと腰掛ける。
「…アデルさん、酔いすぎ…」
赤の青年が顔を歪めながら笑う。
「……~♪…」
青の少女はハスキーな声で聖歌を歌い始める。
>マスター
いや、いいよ別に、気にすんなよ。
(マスターのお辞儀に若干引き気味に応え、タバコを一本咥えてまた親指を掌に擦り付け)
>アデル
ああ、別の意味で。
(アデルの言葉に同意して滑る灰皿を肘で受け止め、親指を離しタバコに押し当て火を着け)
>ジョーカー
あー、そういう感じなんだ、思ってたのと違うな。
(てっきり黒い球体に吸い込まれると思っており、伸びた舌を見みながら思わず呟く)
>紅蓮 青蘭
今度は双子か、随分と賑やかになったな。
(笑う兄と歌う妹を交互に見ると紫煙を吐きながら)
>ジャック様
「…どうぞ。ご注文の品です」
マスターはわざとらしい咳払いをすると、酒のグラスを貴方の前へ滑らせる。
「唐突に変わるからさ~、心の準備
追い付かないよね~♪」
白衣の女はグラスを置き、腰に付けられたガンベルトから試験管を取り出すと内容物を飲み始める。
「喰い方にも色々あんねん。その場で噛み砕く時もあるし、今みたいに舌伸ばす時もな」
黒い球体を撫でつつ、黒髪の青年はカウンター席へと腰掛ける。
「…アンタ、誰?」
赤の青年が貴方をじろりと見つめ、首を傾げて問う。
「兄さん、失礼ですよ…」
横から青の少女が兄を嗜める。
>マスター
ああ、どうも。
(グラスを受け取ると酒を口に流し込み)
>アデル
まあ退屈はしないな。で、それは?
(グラスから口を離しタバコを一吸いするとアデルの取り出した試験管を見て尋ね)
>ジョーカー
色々、ねぇ。
(グラスの中の酒を眺めながら)
>紅蓮 青蘭
ジャックだ、よろしくな。あんたらは?
(不愛想な兄とそれを窘める妹に軽く自己紹介をすると尋ね)
>ジャック様
「………」
貴方が注文品を受け取ったことを確認すると、マスターは途端に背を向ける。
「んにゃ、これ?二日酔い防止薬~♪」
派手な色合いのどう見ても怪しい薬品を揺らし、白衣の女は悪戯っぽく微笑んでみせる。
「そ、色々な。マスター、いつもの頼むわ」
背を向けているマスターに黒髪の青年が呼びかける。
「…俺は紅蓮。こっちが妹の青蘭」
無愛想な赤の青年は端的に述べるとふいとそっぽを向く。
「兄さん!あっ、申し訳ありません…。
兄の能力はマリオネットで…私の能力はセイレーンです」
青の少女はそんな兄を叱りつつ、貴方に頭を下げる。
「……だぁれもいないねぇ~。」
白衣の女は静かになった酒場を見回しつつ、
薬品を喉に流し込むと呟いて酒を呷る。
「……マスター、いつもの。」
無愛想な赤の青年はマスターを呼びつけ、
カウンターに頬杖をつく。
「………いつもの……酒、を。」
黒衣の男は小説を閉じると微かに呟き、
また小説を読み始める。
「はい。承りました。」
マスターはお手本のような微笑みを
浮かべてみせると、酒を作る作業を始める。
トピック検索 |