龍と太陽

俺はあんたが綺麗だと言ったんだ
(綺麗だという言葉に反応し、違うと否定する所はやはり変わらないなと思い。顔を真っ赤にしてフードが隠す姿も愛おしく、此処には二人しかいない事も相まっては不意に立ち上がりグイ、と彼の腕を引き腰へと腕を回し抱き寄せてはその勢いのまま唇を落として)

だから綺麗とか言うな…と――!っ、
（不意に立ち上がったことで思わず体を強張りつつ反論をするもそんなこともお構いなしに相手の方へさぞも簡単に腕の中へと納まっては唇に何やら温かいモノが触れ。一瞬の出来事であり何が起きたかわからず混乱を招くもそれも段々と分かってきて目を閉じキスを受け入れ）

(勢いのままにキスをしたが、どうやら彼は嫌がる様子もなく受け入れていて。このまま続けようかと揺らぐも付き合い出してまだ浅い頃からがっつくのもあまり良くない上に格好悪い、と以前光忠から聞いたことがあり。ゆっくりと離れてはじわじわと恥ずかしさがこみ上げて来たのか視線逸らし。しかし僅かに耳は赤く染まっていて)

――…相州?
（ゆっくり目を開けて相手を見て見ると、何やら恥ずかしそうに視線を逸らして僅かながら耳が赤く染まっているのが窺えると、なんだ。俺と一緒なのか恥ずかしいという感情は。くすっ、と小さく笑ってしまうとそろりと手を伸ばし頬を撫でてやり「…平気だ。あんたなら…続けてもいい。」と此方も相手と同様に顔を赤くしては催促してみて）

―っ…あんた、煽るのが上手いな
(こちらは理性と戦っていたのにそんなこともお構い無しに続けていいなどと。もうどうにでもなれといわんばかりに再び抱き寄せると先程よりも深いキスをして)

…っ、ふ
（今までよりも深いモノに変わると何処で息を吐けばいいのかわからず僅かに眉を顰めるも少し角度を変えたり、口を離し小さく息を吐くとまた再度重ね）

っは…
(蛍たちが飛び交う中、二人しかいない場所という事もあってかしばらく続けていて。互いが同時に離れては漸く息をついて。彼の口元を指で拭ってやればそのまま頬へと手を伸ばし「…すまない、苦しくなかったか」と訪ね)

（唇同士が離れる際、恥ずかし気に伏目がちに離れていくと乱れた息遣いを何度も何度も息を吐いては吸っての繰り返し。そして漸く息も整え始めた頃、頬に伝わる手の温もりを感じると、目線だけ其方へ向け大丈夫、と言うように小さく頷き相手の手に擦り寄って見せ）

…そうか
(初めてだというのに少し無茶をしたかと思っていたがそれは杞憂だったようで。大丈夫だと頷くのを見ては安心したように微笑んで頭を撫でてやるとそろそろ帰るかと手を差し出し)

（初めてだとしても相手となら無茶してでもいいと思えたからで。そろり、と相手の手の上に手を重ねまだ蛍達は淡い光を纏い飛んでいるのを横目に相手と共に来た道へと帰っていき）

(話しをしつつ、ようやくマンションについた頃には既に深夜で。これ以上起きていては明日休みだとしても体に障るだろうと思い「じゃあまた」とだけ告げると別れようとして)

…、…相州、その…だな、
（明日休みだということもありもう少し相手と一緒に居たい気持ちが勝り。ぐい、と相手の服を引っ張り照れくさそうに視線を逸らしつつ中々その言葉が出ずにいて）

…どうした？
(離れようとするとクイ、と服を引っ張られた感覚にまだ何か用があるのだろうかと振り返り首を傾げて彼の言葉を待ち)

……っ、
（あまり言われ慣れない言葉である為未だにうぐぐと言葉を詰まらせており。これ以上相手を待たすのも悪いので何も言わないでおこうと首を左右に振り「…何もない。じゃ、また」と服から手を離し帰ろうとし）

何だ、俺には言えないことか
(しばらく彼の言葉を待っていたがどうやら言うつもりがなくなったのか、なんでも無いと言われては不服そうな表情浮かべ)

……そ、そんなことはないが、
（この場から立ち去ろうとするも相手の表情を見ると何やら不服そうな表情。素直に言葉にするのは難しいな、なんて思いつつ暫く黙ってから決意したかのように顔を上げ「…あんたと、その…もう少し、傍に…居たい…と思って、だな」とぼそぼそ声を小さいながらも伝えて）

そういうことなら早く言え、俺の部屋でいいなら着いてきたらいい。
(どうやらいうかどうか迷っていたのはまだ一緒にいたい、ということだったらしく。ふは、と笑い零すも直ぐにいつもの表情に戻るとそう言って歩き出して)

わ、笑うな…!
（だから言いにくかったんだと、顔を真っ赤にさせ悔しげな表情で相手を睨み付けて見て。そんな自身の我儘を断ることもなくいつも通りの足取りで階段を上る相手に後を着いて行き）

(ドアの鍵を開けて靴を脱ぐとそのままリビングに向かい。「何も無いが好きにしたらいい」と冷蔵庫からお茶を出しコップを2つ持ってくるとそれを注いでいて)

…お邪魔します｡
(相手の部屋へ上がりこみ自由にしていいと言われオロオロするも小さなテーブルの所へ行きそこへ正座して座ると相手が来るのを待ち)