ほのか 2018-02-25 17:46:31 |
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ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ、・・・。
”女医”の院内PHSが鳴った。感染症隔離病棟からだ。
『看護婦さんね。病棟に何かあったのか・・・。』
「先生。わたくしです。」
「神父さん。病棟に何かあったの?看護婦さんは?」
「先生・・・。もう終わりにしましょう。その女性は耐えられそうにありません。」
「・・・神父さん。本当にここで終わっていいの?今から何百年後かしら?神父さんの生まれた時代でも解決していないんでしょ?この病気。」
「ええ、1万年後の”今”ですら解決の糸口が見えません。しかし神様はその女性の願いを聞かれました。”わたくしの時代の敵とは、わたくしたち自身が戦え”と神は仰せです。はかない存在の人間が、先生をお造りになったこと自体、人間の過ちなのです。」
「・・・そう。残念ね。で、あたいはどうすればいいの?」
「わたくしの祈りの言葉で、先生に埋め込まれた”バイオプログラム”が起動します。」
「・・・分かった。どうぞ。」
「主イエス・キリストのみ名により、『アーメン』」
”女医”は女の拳銃を奪い取り、安全装置をはずし、銃口をこめかみに当てて引き金を引いた。
全ての生き物が死に絶え、何もかもが荒れ果てた大地に、神父は一人立っていた。
「わたくしこそが、『神』です。」
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