ほのか 2018-02-25 17:46:31 |
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『アイツ、「ゾンビを無傷で捕獲する」なんて言ってたが、そんなにうまくやれるんだろうか・・・。』
「おい!どうしたんだよ?」
「いや、別に。先生のアイデアがちょっと気になっただけさ。」
「おい!」
オトコはカレシの肩を叩いた。
「お前がアネキを信じなかったら、誰がアネキを信じるんだよ!?お前はアネキの唯一の親友だろうが!」
「それはそうなんだが・・・。アイツ、昔から到底無理なことを顔に出さずに一人で始めて、後になってあわてる無鉄砲なところがあるからなぁ。」
「ふーん。お前とアネキって、高校ん時からの付き合いだって言ってたよな。」
「ああ。高校に入学してからずっとだ。その時はアイツはまだ男だった。同じクラスで、アイツは俺の後ろの席にいたんだが、男か女かよく分からないヤツで、入学当初から男子からも女子からも気持ち悪がられてた。」
「何でお前とアネキは友達になったんだい?」
「部活のラグビー部で先輩に殴られて、顔面押さえて家に帰る途中、アイツが水で冷やしたハンカチ貸してくれたんだ。『見た目気持ち悪いヤツだけど、案外優しいんだな』って思ってね。それからだ。俺が高1の時だから、お前はまだ小学生だな。」
「俺も卒業したお前にボコられたよ。あのラグビー部のキツさは今も忘れてねぇ。」
「あれ?そうだったかな?」
「何言ってんだよ、ったく・・・。帰りに『さっきはすまなかった』って、お前も水で冷やしたハンカチ貸してくれたじゃねーか。俺とお前はそれからの付き合いだってことも忘れたのかよ?」
「あぁ、そうだったな。」
「んで?アネキが韓国で美容整形を受けるって決めたのも、アネキの独断かよ?」
「アイツ、高2の春休みに俺に電話で俺にそう言ってきた。「俺、そういうケがあってお前と友達になったんじゃない」て言ったら、アイツの家は爺さんの代から医者一族で、看護師に囲まれて育ったのが原因なのか、元々精神的に女性だったんだ。だからアイツ、「大学に行く前に体も女になりたい」って、電話口で泣いてた。」
「お前が大学で韓国語や韓国のことあれこれ勉強したのも、アネキのためかい?」
「そうだ。俺はサラリーマン家庭だから推薦入試で高校を出てすぐ大学に行ったが、アイツは成績が良いのに3年浪人した。だが無意味に3年過ごしたんじゃない。整形大国の韓国と言っても、全身となると時間がかかる。アイツは高校を出てすぐ一人で韓国に渡り、受験勉強をしながら、体のパーツごとに手術を受けていたんだ。俺もアイツのために日本と韓国を往復したが、アイツが日本に帰ってきたのは3浪目の秋だった。」
「で、翌年の春めでたく医学部合格という訳だな。」
カレシは1つため息をついた。
「あの事故さえなければ、アイツも俺も、そしてお前も、ここに来ることはなかった。」
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