風人 2017-02-09 19:49:33 |
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極北クレイマー(上・下)
極北ラプソディ/海堂尊/朝日文庫
海堂尊先生による極北シリーズ。
北海道極北市を舞台に市民病院の存続や在り方を書いた一連の物語。
今中先生を主人公に据えながら彼の目を通して市民病院の経営、医療費不払い、市役所や市長との関係を描きまた『田口白鳥シリーズ』から氷姫こと姫宮香織が『極北クレイマー(上)』に現れ極北市民病院を視察し指導する。
また『極北クレイマー』においての唯一の良心的な人物、三枝医師は自称ジャーナリスト西園寺さやかの企みと共に逮捕されてゆきそれをきっかけにタヌキな病院長こと室町病院長がいろいろと手を尽くすが市民病院は一度破綻してゆく。
また不良医師後藤の過去もあきらかになり涙を誘う(ここまでが極北クレイマー)。
一度は破綻した極北市民病院だが医療債権請負人である世良雅志のもとに破綻をまぬがれるが今中先生が積み上げた信頼はすでにない。
しかも世良先生は病院が危機のなか唯一の部下である今中先生を隣の雪見市救命救急センターに派遣し今中先生は充実した生活を送るが極北市民病院が気がかりになる。
また世良先生の後輩である速水先生からすでに見えている“答え”を示唆され彼は市民病院に一方的に返される。
『極北ラプソディ』のひとつにドクターヘリの活躍というのがある。
いまでこそ大抵の地方などでは目にするドクターヘリと思うが興味ある方は『極北ラプソディ』をおすすめします。
『極北ラプソディ』であきらかになるドクタージェット構想、日本三分計画などはある程度はっきりする。
しかし物語はそちらの方向には向かず世良先生と花房看護師との恋愛に帰結する……。
他の『桜宮サーガ』のシリーズとちがい市民病院を具体的に救済することはないが人間関係が修復されてゆくという形で物語は終わる。
地域地方の市民病院を物語に置いてることで共感できるシリーズと思います。
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