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No.2
by タローラモ 2016-09-01 17:40:13
「分かるかね。お若い方。」
猿は人語を理解していたが、あまりにも自然だったので僕は却って気にならなかった。猿は僕の隣に近寄って座ると、興味深そうに僕を見上げた。
「ええ、色々と、思うところがあって。貴方も?」
初対面、しかも猿を相手にしていながらも、僕はこの猿の穏やかな笑みに心許したようだった。「お若い方」と言われたが、この猿はいくつなのだろう?ともかく成熟した佇まいに、僕はどこかへりくだった態度をとってしまう。
「うむ。どうだね、お互いにその『思うところ』とやら打ち明けようではないか。」