心ノトビラ〜非募集〜

(予想外の肯定的な囁きに戸惑っても顔は勝手に微笑みを浮かべ、頷いてしまい｢はい…また、夜に｣と囁き返して。と、慌ただしく立ち上がる相手に目を丸めていれば手伝う暇もなくあっという間に仕度が終わってしまい、どうしようかと考えていたところを呼ばれては、急いでいるはずなのに自分を求めてくれる姿がとても愛しく映り｢――できるだけ、早く帰って来てください。待っていますから…いってらっしゃいませ｣深いキスは夜の為にとっておこうと軽く触れるだけのキスを送り、ちゅ、と音を立てて離れる唇に少し照れながらもささやかな我が儘を伝えて)

（瞳を閉じて待っていれば自分の唇に柔らかく暖かいものが当たり、それも触れるだけのキスで音を立てて相手が離れてささやかに我儘を伝えてくれば「わかった、なるべく早く帰ってくる」と安心させるように微笑んでそう言って家を出て行き。今まで一人暮らしで家に帰ってきてもなにも楽しみはなかったが相手が来たことによって楽しみができ。）

〜夕方6時頃〜
（仕事時間も終わり、待っている相手がいる家へ帰るために早足になっていると、突然電話が鳴り出し。それは知り合いの飲み会の誘いでその知り合いは会社のお得意様で、相手に早く帰ってきてと言われたことを思い出し、断ろうとするも誘われたのはお得意様、これからよろしくしてもらうためにもやはり外すことは出来ないと思い、相手を裏切ってしまうことにかなりの罪悪感を覚えればその誘いに乗り、電話を切ればすぐに家に電話をして。しかし、相手は電話を使うことはできるだろうか、電話をしながらそんな心配をするとどうやら出てくれたようで「あ、シュアンか？ごめん、今日ちょっと用事ができた。帰りは10時頃になると思うから。ごめんな」と用件だけ伝えれば飲み会の時間も迫っているために一方的に電話を切り）

(相手が行ってしまうと部屋はしんと寂しく静まり返り、温もりが残る唇をそっとなぞっては少しでも早く時間が経ってくれるように皿の片付けや掃除、風呂の準備などの家事を始めて。それでも夕方までは長く、心細くなるとこっそり相手のベッドに潜り込み昨日のことを思い出しながら我慢していれば突然電話が鳴り響き。いつだったか必要な時はここにかけるからと教えられていたため、飛びつくように受話器を取るが告げられたのは帰宅が遅れるという連絡で｢…そうですか…じゃあ、｣夕ご飯は作っておきますね。沈む声を無理矢理ごまかして笑おうとするが、そんな一言さえ言い終える前にブツリと電話が切れてしまうと寂しさにぎゅっと受話器を握り締め。それでも夕食を作ってじっと相手を待つことにするが、10時を過ぎても日付が変わっても相手は帰って来ず、何か――まさか事故にでもあったのだろうかと不安に泣き出しそうになっては何度も何度もベランダに出て相手の姿を探したり玄関まで様子を見に行ったりと取り乱してしまう自分を抑えられなくなり)

（誘われた飲み会の場所へと足を運べばそこには何人か見知った顔の人間がおり、会釈を交わすと乾杯の号令がなり、早速飲み会が始まって。相手のこともあるため早めに帰ろうとするもやはり酒が入れば楽しくなってくるのか、知り合いとの話は盛り上がり。やがて飲み会も終わり、早速愛する相手の元へと帰ろうとするもどうやら二次会があるらしく、帰ることを告げるが半ば無理やり連れて行かされ。結局二軒ハシゴしてしまい、時計の針も深夜12時を回った頃に家に着き「怒ってるかなぁ…怒ってるよなぁ…」と宣言した10時などとうに過ぎており、玄関の前でそう呟きながら悩んでいれば「ただいま〜…」ともし相手が寝ていれば起こさないよう、慎重にドアを開け静かにそう言えば本人はわかってないのか酒の匂いの中に女物の香水の匂いを提げて帰ってきて）

(酷い目に合っていたらどうしよう。もう帰ってこなかったらどうしよう。想像は悪い方に広がるばかりで頭がおかしくなりそうなほどの不安に耐え切れず、かつて恐怖や痛みを堪える時にそうしていたように冷えたベランダで膝を抱えていたがドアの開く音が聞こえると窓も締めずに一目散に駆けつけて。その勢いのままぎゅっと抱き着けば｢良かった…良かったぁ…っ、ずっと帰ってこないから、心配して――｣不安から一気に解き放たれたことで、安堵の笑みを浮かべながら相手の胸に顔を埋めるがその瞬間、相手の匂いとは明らかに違う甘ったるい香りがべったりと気管に絡み付けば思わず息を止め｢――…どこに、行ってたんですか？｣この匂いは知っている。奴隷を買いに来たきらびやかな女性や、着飾った少女が気持ち悪くなるほど振り撒いていたあの匂い。気づいてしまえば心臓が嫌な高鳴りを始め、顔を隠したままいつも通りの声音で確かめようとするが｢…こんな時間まで…誰といたんですか｣どくどくと暴れる鼓動のせいか、勝手に瞼の裏に広がる妄想のせいか重ねた言葉は平静を装っても震えてしまい)

（玄関で靴を脱げばリビングに続くドアの向こうから慌ただしい足音が聞こえてくればその慌ただしい勢いのまま抱きついてくると、急であったことと酔っ払っているため少しバランスを崩しながらなんとか受け止めて「ごめんな、ちょっと人付き合いで遅くなって…」と申し訳なさそうに眉根をさけ、自分の胸の中に顔を埋める相手の頭を撫でると「シュアン…？」と顔を埋めたまま震えた声で問いかける相手の様子がおかしいことに気づき問いかけられた言葉に女性だということを言えば心配してしまうだろうか。香水がついていることを知るはずもなく「誰って…友達だよ、」と安心させるように背中を撫でながらそう言って）

どうしてそんな嘘吐くんですか…？
(不自然にごまかした所で纏わり付く匂いは隠せないのに、嘘を吐かれたことで不安が確信に変わってしまうと相手の言葉を掻き消すように悲痛な声を被せて｢女の人と一緒にいたこと――どうして隠そうとするんですか？｣大好きな頭や背中を撫でてくれる手も、同じ手で別の誰か――約束をしていた自分より大切で自分より長く側にいたいと思っている誰かに触れていたと思えば堪らずきつく腕を掴んで｢…私、ずっと心配で…ずっと稜様のことを待ってたのに。ずっとずっと稜様のことだけ考えてたのに…｣相手だけが世界の全てである自分とは違い、相手には外の世界があり、繋がりがある。わかっていたはずなのにこうして突きつけられると恐ろしく、感情のまま泣きそうになりながら繰り返して)

（女の直感というものだろうか、こちらがついた嘘を一発で見破られればギクリと何も言い返せなくなり、何故女性といたことがわかったのだろうか。悲痛な声を被せてくる相手になんとか弁解しようと「ご、ごめん…女性と居たのは本当だ。でも、そいつとは何の特別な関係もない。ただの友人だよ」と実際それは本当のことで、相手の誤解を解くために必死に説明していると腕を掴み、1日中考えてくれていた相手に罪悪感が膨れ上がり。こちらだって飲み会の間ずっと考えていた、そのことを言葉にしようと「俺も、シュアンのこと考えてた、飲み会の時も」とその場を凌ぐためにも相手と同じ気持ちだったということを伝えて）

（/今日は落ちますね）

(きっと何か事情があるのだと、仕方がないことだったのだと自分を落ち着かせるために語られる言葉へ必死に耳を傾けるが、たった今嘘を吐かれたばかりでは信じたくても信じられず｢…それも、全部嘘なんじゃないですか…？｣いよいよ泣き出しそうな声で疑ってしまえば今まで相手に貰った言葉も優しさも皆不確かに揺らいでしまい。そうでなくても会話をして、笑い合って、寄り添っている時は自分より目の前の彼女のことを考えていたはずで。相手の中から自分が薄れて消えていく様を思い浮かべれば痛いほどの悲しみと恐怖が体を震わせ、たまらず強く抱き着けばもう何も聞きたくないと口づけをして、ただ相手を悦ばせるためだけに必死で舌を絡めとり。これ以上相手に気に入ってもらえる術など知らず、顔を上げては縋るようにシャツの胸元を掴んで｢――私、稜様のためなら何でもします…料理も、掃除も、キスも、稜様に好きになってもらえるようにもっともっと頑張るから…だから、私のことを見てください。私のこと、忘れられないくらい好きになってください。私のこと――｣捨てないでください。最後の言葉はほとんど吐息のように零し、相手の首筋へ擦り寄れば"お願いだから"と甘ったるい匂いを掻き消すように涙を落としながらなお懇願し)

(/すみません、寝落ちしてしまいました…！)

（飲み会の時も、相手を待たせていることにかなりの罪悪感を感じながら抜け殻のように飲み会に参加していた。本当は美味しいはずの酒も美味しく感じられず、無理矢理口の中に放り込んでいた。「嘘じゃない！本当だ！」と一度嘘をつかれたことで疑心暗鬼になっている相手にそんなことはないと言い切るように言うもいきなり口を塞がれればそのまま舌で積極的に絡めとられれば相手の緊迫感に何も言えずにそのまま受けていると、縋るようにシャツを掴んでそこから首筋にすり寄って涙を流しながら懇願する相手に、何でもするから好きになってくれとはそれは相手の欲ではないか。しかし、少しのことでこのようにすぐにでも崩れ落ちそうな相手を放っておくことができず、相手を急に抱き上げてそのまま寝室に連れて行けばベットに乱暴に寝かせ、欲望のままに相手の唇を貪って）

（/大丈夫です！）

(自分勝手な我が儘だとわかっていても、駆け引きや器用な愛され方など知らないのだから相手を欲しがるためには愚直に想いをぶつける他なくて。また欲張りと呆れられたって良い、相手だけは手放したくないという気持ちを抱き上げられた背中へしがみつく両腕に托して｢…稜様の好きな人はたくさんいても…私には、あなたしかいないんです｣それでも少しだけこの不安をわかってほしいと衣擦れの音に消されるほどのか細い声を耳元へ落とし。自分をベッドへ寝かせる手つきがいつものように優しくないことさえ気にならず、乱暴な口づけを昨日のように幸せだと思えないまま受け止めるとそれでも沸き上がるやり場のない熱と感情がまた涙として頬を伝っていき)

（ベッドにて相手を慰めるためにも激しい口づけをするが、背中に回された手に強く、何かを恐れているような力が込められているとこれ程までに執着的で脆弱な相手は今すぐにでも崩れ落ちそうなほど弱々しく見えて。衣摺れにもかき消されてしまいそうな声で耳元で囁いてくると「俺の好きな人は、シュアンだ」とこちらも相手と同様か細い声で言えば相手に聞こえただろうか。キスに没頭するも息が切れてきたのか一度口を離すとそこには相手の頬から涙が伝っているのが確認でき。一瞬戸惑い、硬直するも今はどうでもいい。その涙を舐めとりそのまま耳にまで唇を移動させ耳の中を音を立てながら舐めて）

(口づけの合間に聞こえたのは自分が好きという嬉しいはずの言葉。しかし自分"だけ"を好きでいてくれているわけではないと顔も知らない女性や友人や、自分よりずっと昔から相手との時間を過ごしているであろう人間達を思い浮かべると何も言えずに声を押し殺して。その分涙ばかり溢れてしまうのは止められず、いくら相手の唇にすくい取られても次から次へと伝い落ちていたが｢――あ、っ…！稜っ…さま、そこ…っ｣雫を追うように唇が耳まで至り、内側にまで舌が入ってくるとその感覚に目を見開き抑えていた声を響かせてしまい。直に聞こえる水音に体中、体の内側まで舐められているように錯覚しぞくっとすれば止めてしまいそうになるものの、相手の為なら何だってすると決めただけに唇を噛んで耐え。それでも今まで感じたことのないような感覚は強烈で、嗚咽のように声を漏らさずにはいられず)

（相手の耳へ舌で優しく積極的に愛撫していれば舌を動かし、水音が聞こえるたびに嗚咽のように聞こえる声に耳が弱いのかと弱点を発見すればしばらくそこを舐め続けて、時折ずずっと音を立てて吸ったり、また、耳の先を甘噛みしたりなど緩急をつけて。昨夜のように抵抗したりしないものの、どこか様子がおかしいと思えば耳から顔を離し、相手の顔を確認するとそこには唇を噛んで耐えている姿が。無理にさせてしまっていたのか、それとも先ほど言った何でもするという言葉を忠実に守っているのか。そんな自分に尽くしてくれる相手に愛おしくなればもう一度唇を相手の唇に移せば「好きだ…！シュアンだけが好きなんだ…！」と他の誰でもない、相手のことが好きだと告げて）

(相手によって緩急をつけられる波に体が震えても悲鳴じみた声を上げてしまっても、ひたすらに耐えていればふいにその感覚が消え、噛み締めていた唇をふっと緩めたその瞬間に再び相手の唇が重なると突然のことにぴくりと体を揺らして。どうしたのだろうと視線を上げた時に真っ直ぐ告げられたのは自分が心から欲しがっていた言葉。しばらく呆然と見つめた後、やがて視線を逸らすようにゆっくりと首を横に振り｢――いいえ。…私のほうがずぅっと、稜様のことが大好きです｣嘘だと否定するには、その言葉はあまりに嬉しすぎて。否定できない代わりに自分の中に渦巻く想いはもっともっと大きいのだと、おそらく相手の"好き"とは比べものにならないほどのものだと寂しげな表情で暗に告げては今度は自分から唇を重ね)

（舐めたり、吸ったり、甘噛みしたりと耳への愛撫中にこと３つを繰り返していればその度に体が震えると、こちらの中でもっと責めたいという欲が生まれてしばらく相手の反応を楽しんで。こちらの想いをひたすらに真っ直ぐ、包み隠すことなく告げればゆっくりと首を横に振り、なぜか寂しげな表情を浮かべながらこちらの想いより大きいと訴える相手がまた唇をつけてくれば恐らく、相手の気持ちに自分の気持ちは負けてしまうだろう。しかしこちらも相手のことが好きということに変わりはなく相手のそれに応えるよう、また相手の口内に舌を侵入させ、口内中を舐めとり、最後に相手と自分の舌を絡めて）

（/これからどうしましょうか？先日話した通り裏行為をしたというていで進めますか？）

(/私はそちらで大丈夫です！一度嘘を吐かれたことで稜様の言葉に少々疑心暗鬼になっているため、行為で愛情を示してもらったという形で良いかと…ただ、主様が別のシチュエーションがよろしければ仰ってください！)

（/了解しました！そちらの方で進めたいと思いますので256から続けてもらえますか？）

(散々耳を弄られたせいで敏感になっていたらしく、重ねた唇から入り込む舌が口の中を動き回ると応える舌まで止めてぴくんと体を跳ねさせてしまい。貪られるような感覚に浸っていたくなるものの自分も相手が少しでもよろこんでくれるように舌先でその舌裏をちろちろと舐め、やがて絡ませ合えば閉じた瞳の睫毛まで震わせて。不確かな言葉と違って触れ合えばその熱や早急さから相手が自分だけを求めてくれていることがはっきりとわかり、一度唇を離してもつうっと伸びる唾液の糸が途切れないうちにまたすぐ口づけを欲しがって顔を寄せ)

(/わかりました、よろしくお願い致します！)

（こちらの舌による応えに対抗してか、こちらの舌の裏をちろちろと舐めてくる相手にいきなりのことでピクッと驚き、それでも舌を蠢かすことはやめず一度呼吸を整えるためにも唇を離すもまた唾液の糸が途切れぬうちに相手は求めてきて唇を近づけてきて。今度は舌で相手の唇を舐めてから口内に侵入させ。相手とのキスはなぜこれほどまでに満たされるのか、やはり1人暮らしをするようになってから人の温もりを忘れていたのだろうか。もっと相手を感じたい。もっと温もりを感じたい。もっともっとと自分の中で欲望が膨らめば一度唇を離しスーツを脱げば今度は相手のワンピースを脱がせばお互い裸という状態でまた相手に覆い被さり深く長いキスを再開して）