（　　水底　　）

波の音が聞きたい。もう随分遠くなってしまった。あの頃はこんなに遠くなるだなんて、思いもしていなかったな。



　　　　

こんな痛みが続くくらいなら、いっそのこと飛び降りてしまいたい。
そう思った。そう思ったことが恐ろしかった。私も死にたいと思える人間だったのだ。



　　　

できればあんな痛みは二度と味わいたくない。薬が一瞬で効けばいいのに。



　　　　

苦しくても、これは切り捨てていかなければ。



　　　

今日は久しぶりに調子がいい。毎日こんな風ならいいんだけど。



　　　

底の底まで沈めてほしいのに、救い上げてほしいとも思ってる。
矛盾だらけだ。



　　　

どうしてあんなこと思い出したんだろう。今更。もうどうしようもないのに。



　　　

下げ忘れてた‥。



　　　

息苦しい。大切にするつもりもないくせに、捨てることも遠ざけることもできないでいる。思った時にはいつも手遅れだ。



　　　　　

自分がどうしたいのかわからない。進むために作った道は目の前にあるのに、そこへ行きたいのかと問われると頷くことができない。他に行きたい場所があるわけでもなく、戻りたいとも思わないのに。



　　　

もう6月か。雨は嫌いじゃないけど、梅雨は蒸し暑いからあまり好きになれない。



　　　　

静かに、ただ静かに息をしていたい。



　　　

私が苦しいのは呼吸することを知ってしまったから。



　　　　　　　

苦しい言い訳。そんなのが聞きたいわけじゃないのに。



　　　

感情が麻痺している。何を言われてもなんとも思えない。本当に何も。彼女はたぶん、怒ってほしかったのだろうな。



　　

もう何度海の底に憧れたか分からない。



　　　

耳鳴りがうるさい。



　　　　

駄目だ、ちょっと落ち着こう。また下げ忘れてる。



　　　

喉から手が出るほど、それがほしい。



　　　　

どうしてあんな風に感情的になれるんだろう。演技ではなく、本気でそうしてるなら尊敬する。とてもエネルギーを使いそうだ。