深い深い森。
鬱蒼と生い茂るとはこの事を云うのだろう。
そう思わせる程、この森は深く暗い。
しかし、ここで引き返すわけにはいかない。
兎に角前へ、前へ。
一向に変わらない風景と、闇。
不意に背に悪寒を感じ振り返る。
何故――?
一瞬にして頭の中はその言葉で埋め尽くされる。
先程まで確実になかった筈なのに、何故・・・?
暗い森の中のこと。
これ程までに明るく光を放つ建物を見逃すだろうか。
しかしその灯りは安堵など更々感じさせない無機質なものだった。
もう、ここまで来たら引き返せない。
1つ、小さな溜め息を溢し意を決して足を一歩踏み出す。
"幻病病棟"へと―――
レス禁止