茶の間

＿＿夏の終わりは妙な気分になるだが。
(茶の間で胡座をかき腕も組んで、最近落ち着いてきた蝉時雨を懐かしむように丸い窓の方へ顔を向け。曇った世界は涼しさを運んで来てむしろ肌寒さを感じ。大福を一つ手に取り引き千切ろうとしてゴムの様に伸びてしまい苦心し。)
>ALL

(/置きレスの方へ顔出ししてみたんだが、ロルは長くせにゃならんのか分からねェんでこの位にしておいたゼ。誰か気付いたらまァ、会話位は吝かでもねェが。)

海神>

おやおや、狸臭いと思ったらアンタかい。しんみりしていても仕方ないよ、季節は巡るものさ。
(茶の間の低い出入り口から身を屈めて現れ。冗談を交えて少し離れた場所に腰を下ろして盆に載せた茶菓子を置き。茶葉を適量湯飲みに入れゆっくりと回して、蓋付の湯呑み茶碗へ注ぎ入れ。)

(/お園とはチャット式で会えたけど、アンタは此処に居たのかい。会えて嬉しいよ、ツンデレなのは気にしないで絡ませて貰うさ。)

なンだと＿__？人間か、たった今迄独り身を愉しんでいたが。明日で葉月も終わるだが。
(冗談に本気で反応しギロリと鋭く睨みつけ。茶菓子に目をやり一体何を持ってきたのだろうと思いながら、千切った大福を口に入れ咀嚼し。湯飲みから漂う芳醇な香りに僅かながら目を緩め。窓の外は小雨が降り出しその雨音もまた静かで幾分か怒りも収まっていき。)

(/物好きが居るモンだが。俺さんは大して面白くもねェやっちゃだが、来てくれたのはありがてェこってす。)

海神>
おお怖い怖い。茶の間で喧嘩をおっ始めるのは感心しないね。夏の終わりか、この侘しさが却って良いものだよ。
(わざとらしく唇を歪め肩すくめて小刻みに震え。話しながら茶碗を目の前にそっと押し出し茶菓子を添えて。夜になると虫の羽音が響く今の時期が好きらしく、軒先から聞こえてくる風鈴の音に静かに目を伏せて茶菓子をつまみ。)

＞皆サま
雨降、り、お月、さン雨、の陰――――お嫁に、ユくとキゃ、だレとゆク……――（茶の間の出入口付近でひたりひたりという足音と、歌とは到底言えない途切れ途切れの童謡が小さく鳴り響く。それらは此方の部屋に近付くよう若干音が大きくなってゆくが、じきに中に居る人の気配に気付いたらしく戸の前で歩を止めるや数瞬悩んだのちに中から着物の布と彼女の長すぎる髪がやや覗くだろう位置に腰を下ろして中に入るまでには至らず留め。そして壁に寄りかかり、足を崩すと鼻腔にまで届く夏の終わりの湿った香りにゆたりと目蓋を落とし）

（／ご機嫌よウ。所用によリ、表にご挨拶に向かウのは明日ノ昼頃になってシまいそうなので、此方二。
位置的にハ部屋には入らズ出入口の近クに座っタ、といウのを想像シておりまス。ただ、これカら明日マで留守にしますノで返信は遅くなるかト……反応するか否カは皆サまにお任せシますわネ。どうぞ、コれから宜しクお願いいたしマす。）

おめぇさんもそう思うだが。奇遇だな。お館様らしい空間だゼ……思わず眠くなッちまう。
(此の時期のなんとも言えない空気は、何故か眠気を誘い欠伸して口が大きく開いて。掛け軸に描かれた嫋やかな何かの姿に目を移し、此方も茶を啜りフウと息吐いて。次第にお酒の方がもの欲しくなって来るが場にそぐわない話は控えようとグウと我慢し。)
>伊万里

あァん？誰だ唄ッている奴はよォ。隠れていねェで入りやがれ、そんな場所に居られる方が落ち着かねェんだよ。
(廊下から聴こえてくるのは幽霊の声かと最初思い、片眉上げてジトリと見据え。ぴたりと止み視界に入ったのが髪の一部と着物の端のみ、その様子から恐らく女性だろうと判断して。正直な話遠慮されるのは好まない為無骨な事を言い放ち、また入らないなら入らないでも良いとして反応を待ち。)
>美影

(/新しい奴か、私生活の方が大事だ気にすンな。置きレスでおめぇさんを無視するのは不粋だろうが。コッチから話しかけさせて貰ったゼ。また来るのを待ッてやるよ。)

海神>
アンタとお揃いかよ、これが黒髪の乙女ならやぶさかでも無いのに髭生えた古狸じゃあねぇ。冗談、金鍔だよ食べな。
(顔色を悪くして身体を避け鼻つまみ。片手でシッシッと追いやる振りをしていたが気分を悪くされるのは厄介な為、座り直し歯を見せて笑い。小皿に切り分けた菓子を載せまた前に押し出して、自分も次々と菓子とお茶を平らげていくのは男性の様でいて。)

美影>
やっと可愛い子のお出ましだよ。良い声だね春雨の様に柔らかい。さあてお嬢さん、ちっとウチらとお茶しないかい？金鍔あるよ。
(唄声に反応し耳を澄ませ。敢えて廊下へ出迎えには行かず座ったまま顔だけ向け。入らないのを不思議にも思う暇も持たず立ち上がるとけらけら笑いながら近寄っていき。姫を庇うが如く優しく抱きしめ、其の儘手首掴み引き上げ。遠慮なんかせず部屋へと連れて入り。)

(/ようこそ、ってウチが言うことじゃないね。別嬪さんは大好きだよ、男も嫌いじゃあないけどね。無理矢理連れて来たけど、嫌なら逃げても良いからねー。)

ケッ。俺さんも何が嬉しくておめぇさんに同意したんだかよォ。金鍔か、悪くないだが。
(苛々してしまうのは、冗談を冗談と取れない頭の硬さが一番の原因であるのを少々自覚はしているが如何にも成らず。腕を組み険しい顔を作り、という仕草で拗ねていて。楊枝を突き刺し口に入れ、独特の食感と味わいを楽しみ後は黙ってまた一口。)

>わダつみさマ
ウふ、ふふ、ふふフ、あァ御免なさイ。人ト顔を合わせるノは慣れていないものダから……。
（鼓膜をゆらす声に伴い口元に着物の袖を宛がって隠せば不気味ささえ感じる不安定な笑声を三つ。梅雨のようなジメジメした空気をどことなく纏いながら、相手と先ほどまで話していた女性の手により茶の間に漸く足を踏み入れることと相成るが、長すぎる黒髪に前後覆い隠されたさまは正しく”雨女”ではなく”髪の毛の化け物”というが相応しいだろう。やや距離をおいた場所に腰をおろし、前述した髪は床に構わず散らしながら前髪の僅かな隙間から瞳を覗かせて口角はゆるりと上げ。）わたクしもご相伴二与っテもよろしクて？　雨モ降っていないシ、退屈に殺さレてしまいそうデしたの。

（／用事が済んダのでまいりましタ。我なガらなかなカに絡みにくイと思っていタのダけれド、拾っテくれてアりがとう。仲良くシてくれたらうれしイわ。／蹴り可）


>イまりサま
（ふわりとつつむ熱はまるで冷水の如く冷えた肌を持つ自身には妙に心地好く、無機質な煌めきを持つ眼球をさらにまんまるくしたのも束の間。手首を浚うその仕草は男性のそれより尤も様になっていて彼女の人柄と心遣いに胸の奥がやさしく溶かされてゆくのを実感し、抵抗も無く茶の間に踏み入るなら顔を覆う髪で相手から視認は出来ないだろうがぼうっと視線を遣り、小首を傾けながら口元だけ持ち上げ。）なンて、やさしく澄んだ魂のかタ……まるで緑雨のヨう。えエ、ええ、おもシろいお話なんて出来なイけれどわたくシで宜しけれバ――あマあいお菓子もだイすきよ。

（／あァ、あリがとう。連れ出してクれなかッタら恐ラくひっそリ佇む髪の毛お化ケの置物になっていたワ。ありガトう。どうぞ、仲良くしてネ。／蹴り可）

海神>
冗談だって言ったろ？それともなんだい、海神サマ素敵ー、お嫁にして頂戴なーとか言って欲しかったのかいー?感想を言ってくれなきゃ、こっちの張り合いが無いんだけど。
(明日はお萩を拵えて振る舞おうか否か考えながら、拗ねたらしい様子を横目で見て。頭が堅いのは前々から見ていて判っている話、ならばと悪戯に片眉を上げ甘ったるい口調で冗談めかして。食べるだけ食べてウンともスンとも言わない相手に痺れを切らし、その膝を脚で軽く蹴飛ばして感想を催促。)

美影>
止してくれよ、恥ずかしいじゃないか魂が澄んでる云々なんてさ。純粋無垢な黒髪の乙女を待っていたところだよ、むさ苦しい空間に花が咲いたようだね。お茶もあがんな。
(立たせてみると背丈は自分より低く、鈴を転がすような声音に愛らしさを感じ取り。女とは思えない仕草で照れ、ふっくらした座布団の一つへ導いてやり。先程から少々喧嘩腰の先人である海神にわざと聴こえるように言い、急須に湯を入れなおし適温で茶碗へと注ぎ入れ。)

何が可笑しいッてんだ。其処のは人間、俺さんァ唯の毛玉。入ッてくるたァ思わなんだが、まあおめぇさんが来たら来たで……賑やかになるかンな。こっちに来い、男が配慮するモンだが。
(斜め上に見える長い黒髪と、隙間にちらつく瞳に視線を向け妙な物を見るのと同じ顔を作り。引っ込み思案だろうか。髪の長さからしてそんな印象を抱き「人」ではない事を敢えて強調するのは遠慮するなと言う代わりであり。素直に受け止められないのが丸出しな言動で目を閉じ。離れて座る女性に配慮して自らも少し遠退き。)
>美影

阿保抜かせ、おめぇみてェな相容れない奴に媚を売られてたまるかッてんだ。ッよくも蹴飛ばしやがッて_＿味が良いのは造り手が良いからだが。
(赤面どころか顔面蒼白の極みに到達し、身体をサッと避け一瞥もくれずに言い捨て。お嫁だろうが婿だろうが今は一切考えていない存在、しかも以前から己を嘲笑う言動ばかりの人間に負ける等誇りが許さずで。苦虫を噛み潰した顔で漸く褒め言葉を、持って来た当人をすり抜けて職人に対して述べ。)
>伊万里

＞イまりさマ
あラ、だっテ本当ノことダもの……ふふ、ウふ、ひトではないわたくシを”乙女”だナんて。
（招かれるまま太陽の光を吸ってふっくらと柔らかさを持った座布団の上に腰を据え。彼女からこぼれる言葉は暖かなものばかりで、昨今では忌み嫌われる傾向にある雨の象徴足る妖怪だからこそ現在の空気はくすぐったくも頬が緩むほど嬉しく、じわりと目元に涙が滲んだ途端空は灰色の雨雲を引き連れて天候を崩しはじめ）あリがとう、コうして人のコに歓迎サれたノは久しブりよ。昔ハ日照りガ続くと雨乞いをシてくれルかタも居たのダけれど…最近は雨ハ忌まレるものデしかないものネ。

＞わダつみサま
そウ、貴方も妖なノね。わたくシとおんなじ、あア、わタくシは雨の妖――――雨女っテ、ご存じカしら。
（同室の彼女が用意してくれた座布団には誘われるまま、前方に手を付いて其処まで這っていくがその様子すらホラー映画でよく見る光景の一つでしかなく。臀部を超す髪は当然床に散るが長いそれを疎ましく思う訳でもなくそのまま放っておき、普段はあまり外に出ず部屋に籠っていることが多いため自己紹介を兼ねて自らの種を告白。その刹那、タイミングが良いというべきか悪いというべきか、何も悲しいことは無いのにも関わらず雨女としての性か意志と反してあたたかな物が頬を伝ってゆき見る見る内に天候は緩慢と屋敷の周辺だけ雨雲が広がりつつあり）

海神>
なあに、こちとら古狸に縋るほど寂しい身でも無いよ。で、狸は化けるんだって言うけどアンタはどうなんだい？化ける技術を披露して、このお嬢さんと人間を楽しませてごらん海神ちゃんやい。
(一切合切気にもしていない様子でカッカッと高笑いを始め。あらかた自分の分の茶菓子を平らげ爪楊枝で歯間の掃除をしながら唐突に芸を要求。屋敷には狐もいるがとんと見かけない為、長い間目にして見たかった化け姿を揶揄いながら何としてでも拝んでやろうとする魂胆丸出しで。)

美影>
こんなに愛くるしいアンタを乙女じゃないって言ったら、神仏のバチが当たるさ。おやおや、しまった泣かないよしよし……雨は本格的な夏に備えるための大事なお恵みだよ、だから梅雨がある。
(同性を相手にする時だけにみせる偏った親切ぶりではあるが、素直に受け止めるのを見ていると頬擦りでもしたくなる衝動に駆られ。雨女が泣くときは用心せよ、使用人頭が言っていた話を思い出しいそいそと背中を撫でてやり。撫でながら声音を柔らかくして人間代表としての最大の敬意を示し。)

_＿_＿まるで平安時代を垣間見る気分だゼ。雨女？お館様が何か…ッ何だ⁈雨女、つまりァおめぇさんが泣くと雨が降るッてこっただが？
(女性の艶めく髪を見ていると、情けないかな男である限りその魅力という魔力に引き寄せらされずを得ず目が釘付けになり。ふと聞いた名前に思い出した事があったが、突然に涙を流し始めるのを見ればギョッと目を剥いて。窓の外が翳り差していた日向が消えるのを茫然と見守り、それ以上泣かれては雷雨でも来たら一大事と慌てて肩を叩き止めようと。)
>美影

確かにおめぇさんは人間だが。だがからかッて遊びたくなる相手じゃねェンだが。_＿_＿二度も見せてはやらねェゼ、目ん玉凝らしてよく見てな。ポンッ！
(目だけを動かし視線は合わせずまた他所を向き。溜息吐いてハンチング帽のひさしで表情を隠し呟き、暫し黙り込んでは唇を横に結び。色々と悶々考えに考えた挙句、相手にもまた雨女にも素っ気ない事ばかり言ってしまっている事実に少しでも返上しよう、決意を固め。立ち上がり印を結び独特の掛け声で瞬間煙に変わり、その中から艶やかな女形の姿を浮かばせて。)
>伊万里

＞いマりさマ
雨ガなかったラ、草木は枯れテ全てが干上がってシまうものネ。水が、雨ガなけレば人ノ子は生きてイけないもの――そコはわたクしとおんなジね。一緒、いっシょ。
（雨女が泣くから雨が降るのか、雨が降る時雨女は泣くのか。無論、自身が本気で泣いた日には文字通りバケツをひっくり返したような雷雨が吹き荒ぶ大惨事が訪れるわけなのだが今回は生理的なものであったため、溢した涙の量と同じくぱらりと小雨が数瞬降るに留まり。そこで停まったのは相手の言葉によって思わぬ共通点を見つけたからこそであり、反して嬉々と笑ってその旨を伝えると涙はと雨は止み灰色の雲間からは陽光が覗き）

＞わだツみさマ
あァ、また溢レてしまったノね。いいえ、いイえ、違うノ。これハ否応なシにいつの間二か溢れてしマうもノだから……。
（一般的に涙とは感情を伝えたり、その他さまざまなことで流れるものだが雨女にとって雨を降らせる――即ち、涙を流す事は息をするも同義であり。ゆえに、例え泣いていたとしてもそれに気が付かない事の方が圧倒的に多く、今回も相手に肩を叩かれ宥められてはじめて気付き指先で水滴を拭い。すると特に何か特別なことがあったわけではない為、すぐに涙は止まり一転して天候は先ほどと元に戻り）