マッチィ 2015-08-06 19:16:32 |
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【創作文(ギャルゲー風味なもの、タイトル不明】
7月の雨は好きだと思う。
梅雨や冬の雨は疎ましいけど暑くなってきた7月の空に浮かぶ雨雲ーー、そして静かに鳴り響く雨音。
雫から溢れる少し冷たい風、それらが夏の始まりを告げようとしつつあるじめじめした地面に潤いを与えて渇きや暑さを回復させる。
そんな一連の流れが好きなのだ。
「……とか、道徳的な事言ってるけどねえ。」
本当に今日は暑い。
右手で軽く手団扇しつつその片方の手にはほぼ溶けている棒アイスを持っていた私は如何にも夏本番、という7月の部屋だった。
「あーづい………まじでこの暑さは反則だよー、」
ソファーへと深くもたれるもその暑さにうげ、と顔をしかめた。
「……早く夏終わんないかな。」
私の独り言はクーラーも付けられていない静寂の部屋に響いた。
【ギャルゲー風味な短編(主人公×敬語女子)】
昔は違った。
ちゃんと笑って、ちゃんと泣いて。
言葉も今より砕けていて人間らしかったのに。どうしてこうなってしまったのだろうか。
数年振りに再開した幼なじみの彼女はまんで家政婦人形のように決められたことだけをして、空いている時間は何もしない、そんな人形になっていた。
「………昔に戻れよ、なあ。」
「私と貴方様は今夏、初対面として認識していますが。」
「……くそ。」
二回目の定型された会話。
苛立ちまじりに壁へと拳を突き立てると鈍い音と共に窓の外へと物憂気に見られていた視線が此方へと移り変わる。
「…壁に当たっては壁が可愛そうですよ?」
少し路線の外れた注意も今は鬱陶しかった。
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