Debt Grave【小説】

Debt Grave【小説】

ノアール狐  2015-07-12 02:11:13 
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Debt Grave(デット・グレイヴ)


何かを壊したりするのには理由がいる、らしい。

そんなもの、僕にはどうでもいい…


…はずなのに…




(※申し訳ありませんが、評価意外のコメントはお控え下さい。ノアより。)

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  • No.1 by ノアール狐  2015-07-12 02:33:37 

<プロローグ>

何かを壊したりするのには理由がいる、らしい。
世間一般、フツウの概念で言えば、『理由』となり得るモノならいくらでも存在する。
理屈を通すのなら、『イラついていたから』というモノも理由なのだ。なのに、それを言ったら、怒られる。
でも、理由はしっかり言っている。
矛盾している。
…矛盾している?
世間一般のフツウという概念は、僕からすれば全てが矛盾していて、おかしい。
行動の理由をしっかり述べている。
しかし、指導の名のもと、説教の嵐だ。何がいけないのだろうか?僕はただ、理由をちゃんと述べているだけだ。
それが気に入らないのだろうか?
…なら、聞かないで欲しい。
まぁ、知りたいと思うことは、人間の本能であると、どこかで聞いたことがある。あながち間違いではないのだろう。
それが、世間一般のフツウなのだろう。
それらが、矛盾を生むのだろう。
なら、そんな面倒くさいモノは、壊せばいいのに。
でもみんなそれをしない。
いや、できないのだと思う。
昔から、それがフツウなのだと、理解し、認識しているのだから、当たり前なのだろう。

僕は思う。


それは、洗脳と何の変わりもないじゃないか。
ただ、人間(ヒト)により大昔に定められ、築き上げられてきただけの、仮染めの決まり、伝統、認識、思考、思想……

面倒なこと、このうえない。

そんな面倒なモノ、こっちから願い下げだ。
そんな面倒なモノのせいで、僕は…僕は…



……壊すのに、理由なんて、ことあるごとになんて要らない。たったひとつだけの思いや思想だけで充分だ。

こうしている間にも、僕は人間(ヒト)に定められた概念によって動いている。思考している。


気に入らない。
つまらない。
何もかもが、憎い。
憎くて、憎くて、憎くて、憎くて、憎くて、


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い………………!!!!!!

  • No.2 by ノアール狐  2015-07-12 03:20:43 

<第1刻 壊幕>

「おい!!聞いているのかッ!!キミッ…!!!」
「…………」
中年オヤジの代表みたいな面をした男が、こっちを指差して怒鳴っている…
そんなに怒鳴らなくても聞こえてる。
周りを確認すると、交差点を行き交う大勢の人々が歩みを止めて、少年と中年男に注目している。
少年の名前は夜泉次 浅夏(よみじ あさか)。年齢、16歳の一応高校生。
「……聞こえてます。何か用、ですか?」
「何か用ですかって……キミねぇ…!!急にぶつかって来て、謝りもしないのかッ!!」
これだから最近の若いもんは!!
などと、定番の決まり文句を言う。
…………フツウ、なんだろう。それが、気に入らない…
今すぐにでも、“潰したい”けど、今はそんなことより重要なことがある。
足元を確認する。
そこには、長い棒の先に、文字のような模様が施されている刃が付いた、薙刀のようなモノが落ちていた。
グレイヴ。
僕の所有物。
これを何に使うかなんて、決まってる。



武器は武器らしく戦いに、使う。


「見付けた!!」
後ろの、今出てきた路地裏から、赤いロングコートを着ている髪の長い女の人がこちらへ走ってくる。
その手には、二本のナイフが握られている。
「………早いの…です……」
さらにその後ろから、今度は黒い服を着ていて、髪で顔の半分ほどが隠れている、見るからに根暗そうな女の人が走ってくる。こっちは手に鎖を持っている。
二人は路地裏から表通りの状況を確認し、改めて僕を補足した。
「夜泉次 浅夏!これ以上の抵抗は無駄っすよ!!観念しろっす!!」
「かーんねーんしちゃえー」
赤服の女の人が言い、根暗そうな女の人も続いて言う。
なぜ、観念なんて、しなきゃいけないのだろう?僕は、観念したい気分じゃない。だから、逃げる。
「……嫌です。観念しない。あなたたちが諦めるべきだと、そう思う。」
何がいけなかったのか、そう言った途端、赤服の女の人が一気に距離を詰めて来た。
キィン!と、金属音が響く。当然、通行人達は一目散に逃げる……
…………うるさい。
「そうっすかぁ…でも、そっちが折れるまでこっちも折れることはないっすよぉ!!!!」
「……うざい」
うざい。
だから、弾き飛ばす。
「きゃッ!?!?!?!?」
赤服の女の人は、短い悲鳴をあげて根暗そうな女の人の方に吹き飛ぶ。
正直、呆気ないと思う。

  • No.3 by ノアール狐  2015-07-18 22:51:05 

突然、目の前でこんなことがあれば、驚く。
周りにいた人間は全て悲鳴と共に消え失せた。
…残っているとすれば、ごく一部の野次馬だけで、少し探せばスマートフォンやらカメラやらを持った人がいくらでも見つけられる。
そうして、彼らは撮った写真や動画をインターネットへと流し、話題とする。
それは自分が撮ったんだと自慢するため、
そしてなにより、退屈な日常の中のごく僅かな娯楽の為の、餌とするために。
つまり________


「…所詮、どこまで行っても僕は、餌……」

そう。

えさ
エサ

人が、話し、考え、妄想し、想像し、笑い、争い、楽しむ為の餌でしかない。

一部、報道用の資料とされ、人々に注意、警戒を呼び掛ける為に使われることもある。
けれど実際、そんなものはやはり、人々の興味を煽り、自分達の利益に変換するよう仕向けるという目的すら必ず含まれている。

つまるところ、自分の行動は、そんな奴等の絶好の餌だということだ。
「………鬱陶しい」
「イチチ……それ、自分らに言ってるんすかぁ?」
「わー酷いー」
「……別に。でも、あなた達は、鬱陶しい。」
これ以上、関わっている暇はない。
けれど、別に何か用事があるわけでもない。
しかし、それでもこんなところで餌なんてやっていたくない。
結論
…逃げる。
「あ!こら!!待つっすよー!!」
「あーあ…逃げた」
僕は別の路地裏へと続く道に逃げた。別に表でも良かったけど、それじゃ餌のまんまだ。
だから路地裏を使って別の道に出る。
後ろから追いかけてくる足音が、文句と一緒に聞こえて来る。「このチキン!」とか「それでも男っすか!!」とか「頼むから話を聞いてくれっすよー!!」とかいう声が聞こえる。
当然、無視。
表に出る頃には、足音が聞こえて来なくなった。
どうやら撒いたらしい。
……疲れた。
「撒けた、とか思ってるんすか?」
「……う?」
突然、上から声が聞こえた。
僕は反射的にその場から飛び退いた。
何かの事務所の名前らしきモノが書かれた看板の上に、撒いたと思っていた赤い服の女の人が座っていた。
「キミ、ちょっと自分ら甘く見すぎっしょ?これでも一応、『異端者』なんすけどねぇ。」
「……そんなのは、しらない。僕は別にあなたたちに何もしてない。なのに、何で追いかける?」
「そんなの簡単っすよ。自分らは、キミたち『異端者』を保護する為に各地で追っかけ回してるんすよ!」
次の瞬間、チクリ、と左腕に何かが刺さった感触がした。
腕を見ると、小さな針が刺さっていた。
さっきまで通ってきた路地裏を見ると、あの根暗そうな女の人がピースサインをしていた。
口が微かに動く。
曰く、「いぇーい」と言っているようだ。
そこまで理解したところで、視界が霞み掛かってきた。
十中八九、毒だ。
「うぁ……く……」
「ほい、おやすみさん。」
そして突然の睡魔に負け、意識は途切れた。
*
*
*

  • No.4 by ノアール狐  2015-07-19 09:59:50 

【2】「そろそろ使うっすよ!」


朝。
自分が最も嫌う時間。
眠気と気怠さを同時に受けるも、このまま寝ることはできない。
……いや、そうさせてくれない。
ササー、とカーテンが開かれ、朝の眩しい日光が容赦なく照り付ける。
「おーい、ゆかりん。朝ぁー、朝だよぅ?」
「むぐ……うぐぐぐ……」
ゆかりんこと、凉村 癒歌(すずむら ゆか)だよー。今まで19年間生きてきたけど彼氏が一度も出来てないよー……

……朝から一体何考えているんだろ…
「ゆかりん、早く起きてよぅ…」
自分に変な思考をさせた原因、秋山 霊花(あきやま れいか)は、長い前髪をヘアピンで止め、パジャマのまま美少女と言っても差し支えないほど綺麗な顔立ちをし、目を少しだけ潤ませていた。
「…何すかぁ…霊花ぁ……まだ7時じゃないっすかぁ……」
「だ、たってぇ……」
霊花は、恥ずかしそうにモジモジし、長い黒髪をいじりながら視線を反らす。
妙なところで天然美少女っすなぁ……
「言いたいことは素直に言ってくれっすよ。自分らは家族みたいなものっすよ」
「ゆ、癒歌ちゃぁん……」
まるで感極まった人の手本みたいな感じで抱きついてくる。
完璧に泣いてるな、こりゃ。
「んで?何があったんすか?」
「そ、そそそれがぁ……」
*
*
*
玄関の前では、男が数人、声を荒げている。
曰く、
「さっさと出て来やがれ!!」
「ここにいるのはわかってんだよ!!」
「そろそろ我慢の限界だぜコノヤロォ!!」
だ、そうだ。
霊花は完全に畏縮してしまったようで、自分の後ろで小動物が如くふるふると震えている。
自然と護りたくなってしまう。そういう体質なのだろうか?何かのオーラパワー?
……それにしても、こんなことがありながらよくいつもみたいにカーテン開けて「おーい、ゆかりん。朝ぁ、朝だよぅ」とかやってられたっすなぁ…
と、妙な感心をしていると、突然ドアが思いっきり蹴り飛ばされた。後ろで霊花がさらに怯え、短く悲鳴を漏らした。
「こんのやろォ……いい加減にしろってんだァ!!!………アァ?」
「………」
よもや、我慢する必要なんてないっすな。
「んだテメェ?誰だァ…?」
「お宅さんこそ誰っすかぁ?勝手に人ん家の前でかギャーギャー、ギャーギャーと…近所迷惑っすよ」
「おい、女。テメェ、一体誰だ?」
…駄目だコイツら低脳っすな。
「おい、聞いてん……」
「ちっと、黙るっすよ。」
「な……がッ……ガハッ……」
ほい。
撃破。

  • No.5 by ノアール狐  2015-07-19 11:41:58 

「!?」
「!?」
残りの奴等は何があったか理解不能って感じで立ち尽くしている。ホント、低脳。
「……で?お宅等、何の用っすか?」
「…え…あ、その…」
「ハッキリしろっすッ!!!こっちは朝っぱらから大声で喚かれたうえに玄関ぶっ壊されてんすッ!!んなことするからには、それ相応の用事があるんすよねェ…?」
「ひっ……そ、その……あの…」
「あん?」
「さ、佐藤って男に、借金を返して貰いに……」
ああ、ただの借金取りが家を間違えた
またはここに逃げ込んだと思った

ってことっすね……
ふーん……


「タヒね。」
ドスッ!!
「ひぃぃぃぃぃ!?!?!?」
あまりに苛ついたので、玄関の壁を思いっきり殴った。
ヒビが入ったのは気にしないでおこう。ドアと一緒に改修するし。
「………帰れ」
「……へ?」
「え、いや……あの……」
満面の笑みを作る。
我ながら良くできていると思う。
「早く帰った方が、身のためですよ?でないと、運が悪ければ半殺しで全治半年くらいに骨とかいろいろ粉々に_____」
「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」」
全力で逃げていく男達を睨みつつ、後ろに隠れていた霊花の様子を確かめる。案外、目を輝かせてこっちに憧れにも似たような目線を送ってくる。
「はぁ……全く、迷惑極まりないっすなぁ…今度来たら問答無用で半殺しっすね」
「……かっこいぃ~…」
*
*
*

  • No.6 by ノアール狐  2015-07-19 12:18:46 

午前7時47分
それなりに大きい家の中で、居る時間が自分の部屋と同等くらいのリビングで、椅子に座って朝食を待っている間、今回届いた情報を確認する。
『名前は夜泉次 浅夏 16歳。』
『2月生まれの高校1年生』。
『身長160.7cm』
ほー。
『体重39.7Kg』
軽いのかどうかなんてわかるわけないっすよ。
『交際相手は居ない。』
………ふーん
『彼女が居たこともない。』
……へー。
『食べ頃じゃね?』
「ぶッ!!!」
「あえぃ!?ゆかりん大丈夫ー!?」
「何すかこの調査資料ッッ!?!?何で毎度毎度最後がこんな感じなんすかッ!?今回のは特に酷いっすッ!!!」

  • No.7 by ノアール狐  2015-07-20 13:16:14 

本当に何なんだろうかコレは。お見合い相手の情報見てる感じだ。
っていうか、『食べ頃』って何なんすか、『食べ頃』って。そんな趣味ないし。というかそんな趣味ってどんな趣味だコラ。
そうこう考えているうちに、目の前に朝食が運ばれてきた。
「むー…家に居る時くらい、仕事のこと忘れなよぅ」
「そんなこと言ったって…コレ、自分が勝手に進めてることっすよ?」
霊花は手際良くテーブルに皿を並べていく。スクランブルエッグに目玉焼き、卵焼きに、ゆで卵……………

その後、次々と出てくるのは卵料理ばかりで_______
「……何すか……コレ……」
「えっと……お隣の菅野さんが卵一年分を当てたみたいで……お裾分けにと、分けて下さったんだけどぅ……」
「その量が半端じゃないから、こんな卵尽くしになった……ってワケっすか……」
「……うん」
あぁ……何か厄日かもしれない…
そう肩を落としていると、ピンポーンとチャイムが玄関から聞こえてきた。
…さっきの借金取りだったら本気で問答無用に半殺しにしてやる……
そんなことを考えながら適当に「は~い」と返事を返す。
良く考えたら、ドア壊れてたっけ……まぁ、壊れたのは鍵だから、開閉に問題はないんだけど。
「はいはい、どちらさんっすか?」
いろいろ考えながらドアを開けると、そこには隣の家に住んでいる菅野さんの姿があった。
ハゲの優しいおじさん、という印象が良く似合う人で、実際ハゲてるし優しい。そんな菅野さんは大きな段ボールを抱えていた。
「やぁ、癒歌ちゃん、おはよう。」
「あ、はい。おはようっす。」
「すまないね、こんな時間に。ちょっと渡したいモノがあって……」
「渡したいモノ?」
何だろう……
嫌な予感しかしないっすね……
そして、その予感は、即座に的中した。
「これ!くじ引きで食パン一年分当たったから、お裾分けだよ!」
「いい加減そのくじ運どっかに捨てて来やがれッ!!!このハゲオヤジッッ!!!!!!!!!」
*
*
*

  • No.8 by 名無しさん  2015-07-29 00:29:09 


支援

  • No.9 by ノアール=フォックス  2015-07-29 19:31:31 ID:63abb97d8

この物語は、『面白くない』という一部読者様の感想により、執筆を一時中止とさせていただいております。

  • No.10 by アマツ  2016-05-23 02:22:25 

そして運転再開

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