桃亜 2015-04-30 21:55:36 |
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唐突のヤンデレ
「ねぇ、カルマ君」
凍てつく殺気が俺の肌を切り裂くように
「なんで最近」
あの頃は楽しかったのに
「僕のほうを向いてくれないの?」
…それはこっちのセリフだ。
いつの間にか壊れてしまった関係は
もう戻ることはない。
「なんで何も言ってくれないの?」
言えるわけがない。
だって
口を塞がれちゃったもの。
「ねぇ、カルマ君声を聞かせてよ…」
「君のやさしい、テノールような声を、さぁ」
どんなに声を出そうとしても出ないものは出ないのに
ねぇ なぎさくん 俺は こんな生活 いやだよ。
はやくきえたいよ。
こんな渚君…見たくないよ…───。
最近は学校もいけてない。
殺せんせー…何やってるかな。
不思議と涙がこぼれてくる。
ああ
そうだ
もう
殺せんせーは
いないんだった。
あの学び舎はもう
きえたんだった。
渚君は、どうしてこんな風になっちゃったのかなぁ?
ねぇ、せんせー
迎えに来てよ。
はやくせんせーに
先生に会いたいよ…
たとえ消えてしまっても
せんせーはいるでしょう?
お願いだよ先生
あの日みたいに
手を、触手を、
差し伸べてよ
先生
先生
せんせー
「せ…んせ、い…───」
もしもあの日に戻れたなら
もしもあの手に触れられたなら
俺は、もう…
「カルマ君…カルマ君…?」
声が、聞こえる
渚君の
少し涙ぐんだような声が
拭わなくっちゃ
綺麗な奇麗な渚君の涙を
早く手を伸ばさなくちゃ
「少し」
「手を伸ばしたら」
「君の涙が」
「僕の手に触れた」
ああ……やっぱり思えていたんだね
しゅるりと俺の目に巻き付いていた包帯が取れる。
はっきりと
渚君を
自分の
瞳の中に
映す
ああ、みえた。
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