（ｂｌｍｌ）

……あ、前にお友達さんが呼んでたの聞いて。すみません(咄嗟に口をついてしまったが、教えた記憶のない名前を呼ばれれば不快な気持ちになるだろうと、頭を下げて) で、すよねー (あっけらかんとしている相手を見ると、慌てた自分が馬鹿みたいだなと小さく笑い。その後、相手の指す方を見てスーパーの位置を確認し、こんな近くにあったんだ。なんて呟き)

ああ、ああ、別に、名前くらい。（咎めた訳ではなくただ気になっただけのこと、謝られるとは想定外、据わった目がぱちりと開く、思わず自分まで頭を下げそうになる。そんなところ見られてたのか、そりゃ多少目立つよなあ、洩れる苦笑。次いで、おまえは？　ときいてみる。）……おまえ本当にここの住民なの（近隣に暮す人間なら頻繁に通うであろう、通わなくとも名は知っていて当たり前のレベルの、スーパーを。相手が知らないでいた様子に怪訝そうに）

俺は、辻です。辻時哉(此方の名前を尋ねられれば、自身を指しながら笑顔で答えて。今更名乗るのも、なんだか不思議な気分だった。自分が相手の名を知っていたせいもあるかもしれないが、もっと近しい人物のような気がしていたのに) 失礼な！ 俺、学校の近くでバイトしてて、買い物は専らそっちでしちゃうんですよ (家はほとんど寝に帰るくらいのものだ。近所のことはあまり知らないなと顎に手を当て思い返し)

ん、つじくんね（人の名前を覚えるのは得意ではないが、きっとこれからも顔を合わせる相手。教えられた名前を忘れないように、反復して頷き）ああごめんて、そうなの。（先程の台詞は本気で言ったのじゃないとはは、とすこし笑えば目の前の自動ドア、着いたね、と透明なドアを潜りひんやりした空気に包まれる。かごをひとつ取って左手にぶら下げて、好きなの入れな、と相手を振り返りここと示すようにかごを持つ手を少し上げて）

え？　いいですよ、自分で持てます (中に入り、初めて訪れるその場所に子どものようなワクワク感を覚え、キョロキョロと店内を見回し。どうせ、おにぎりとかサンドイッチとか、軽い物しか買わないだろうと、相手からの申し出に、軽く首を振ってから) 日南さんは、何買うんですか？ (自炊したり、するんだろうか。どちらかと言うと、誰かに作ってもらうタイプのように見えるけれど。なんて考えながら、そのまま首を傾げて)

…うん？　そう？（若干噛み合わない会話に混乱しつつ曖昧に頷いて。きょろきょろする相手を横目に迷うことなく青果コーナーに向かって）やさい。（相手を振り返り短くそう答えては最初に目に留まった棚にあったきゅうりの選別を始める。主夫。良さそうなひとつを手に取りまた相手を振返っては、俺出そうと思ったけど、時間見て先済まして学校行っていいよと肩越しに言って）

自分で作るんですか (野菜を手に取り選ぶ姿は手慣れていて。何を作るんだろう。その後姿をぼんやり眺めてから、相手が戻してしまった野菜を手に取ってみる。何が違うのか、自分には全く分からなくて) あ、はい。それじゃぁ……また、 (学校、すっかり忘れてたな。腕時計を見ると、いい時間を指していた。手に持った野菜を置いて、相手の背中に向かって挨拶を言いかけて。また、なんてするりと口から出たけれど、次いつ会えるかなんて分からないよな)

おー。またね。（意外だとでも言うように聞こえた相手の問いにその通りだよと返すように、生野菜か温野菜、まあ料理じゃねえよ。と、毎日量は摂っても食事の殆どが野菜でいつの間にかベジタリアンのよう、好きだからいいけれども、そろそろ外食でもしようと思いながら、野菜を手に取り見ながら肩を竦めてみせた後で、時間を確認しそれじゃあと告げる相手に遅刻すんなよ、とすこし笑ってひらり手を振り。ほぼ一方的にさっさと挨拶を済ませてしまえば、さてと棚に向き直り他は何を買おうかと考えながらふらふらと別の棚のほうへ向かい始めて）

はーい (遅刻しないよう言われると、へらりと笑って手を振り返し。移動する相手の後ろ姿をしばらく見つめてから、自分の買い物を済ませて。偶然会えただけでなく、こうしてスーパーまで一緒に来て、失礼な言い方だけど意外な一面まで知ることができて。少しは仲良くなれたのかな、なんて思いながら学校に向かう)

(とりあえず朝のシーンは終えてしまったのですが、次の展開、何か御希望ありますか？ 帰宅後夜……もしくは、休日まで飛んだら長く回せるでしょうか)

（おっと。では適当に夜のシーンから始めるので、その日の帰宅後か後日かは其方の希望で分かり易いようにさりげなく主張していただければとおもいますすみません……。今後も、場面が途切れたら次のレスから好きに始めることにしましょう～）

……はあ、（普段は嫌って避けるアルコールをかなり久しぶりに摂って、強い方だとは言え少々呑み過ぎたようで多少なりとも酔っている。今日の相手はある種腐れ縁とも言える古馴染みで。彼が帰るついで、一緒に外に出て、いまはひとり、オートロックなんかじゃない剥き出しのアパートの階段に腰掛けて、見上げる、街灯の明りで星なんか殆ど見えない。夜風が気持ち良い。もうとっくに日を跨いでいる時間。何を考えるでもなくただぼーっと壁に寄り掛かり膝で頬杖をつき、時々ぱちぱち消えかかる街灯の光を見つめ）

結局こんな時間だもんなー (バイトを終えて帰ってくると、もう22時を過ぎようとしていた。今朝教えてもらったスーパーで買い物をしてきたせいもあるが、今から料理を作るとなると一体何時に寝ることになるんだろう。とりあえず、焼くだけの肉と、切るだけの野菜を買ってきたので、すぐにはできるだろうけど。腕時計を見て呟いてから、ぶらぶらとビニール袋を揺らしアパートへ向かい)

（了解しましたー）

あ。（かさかさ言うビニール袋と足音に視線を移す、と一日を終え朝と比べて疲れている様子の相手。此方には気が付かないだろう、酒臭い欠伸をしながら相手を目で追い、毎日こんな時間に帰ってるのか、そりゃあ朝眠たいよな、と今朝の相手の台詞を思い出す）

(アパートの前に着こうかという瞬間、揺らしていたビニールの底が破れてしまった) は？ わ、やばい (どさ、という音と共にあふれ出す袋の中身。慌ててかき集めている間に、小分けの袋に入ったままのトマトがころころと転がって。ばし、と手で止めると、大きく溜息をつき)

あ。…あーあ、（相手の悲劇に思わず頬から手を離して身を乗り出す。見ると大分破けてしまっているようで目の前のアパートまでも運ぶのが大変そうだ、立ち上がり手摺に体重を預けつつ、おーい。と声を掛けてみる、静かなので控えめな声でもじゅうぶん届くがやはり響くなあと思い、待っててと短く告げ、新しい袋を持って来てやろうとぺたぺたとビーチサンダルを鳴らして階段を上がり自分の部屋へ向かう。ちらりと振り返り袋に入っていた量を確認して、ついでにちょっと手を振って）

え？ あー、(声のした方を見ると、今朝会ったばかりの相手の姿。今日はやたら縁があるなと嬉しい反面、恥ずかしいところを見られ気まずくて。困ったように食材を持ち上げてみせて肩を竦めれば、待ってるように言われ。不思議そうに首を傾げ、両手いっぱいの食材を抱えて立ち上がり。ああ、これじゃドアを開けるのも一苦労か、なんて考えて。再び振り向いた相手に、辛うじて自由の利く指先だけ揺らして返し)

はいこれ、…落としちゃったのだいじょぶそう？（部屋に溜まっていくばかりのスーパーのビニール袋の中から適当な大きさのものを選んで急いで部屋から出て階段を降り相手の元へ駆け寄る。袋を広げ詰め直すのを手伝いながら、食品の心配。いつの間にかさっぱり酔いも醒めていて、頭上で街灯がぱち、と一度だけ小さな音と共に点滅して。人助けなんかしちゃってと内心自分に笑いつつ。臭いしょおれ、ごめんねよっぱで、と緩く口元でにやっとしてはばさりと目元に垂れる髪の毛を左手で右耳に掛けて）

あ、すみません。ありがとうございます (相手が袋を持ってきてくれたのを見て、ああなるほどと頷き礼を言って。詰めなおしていき、すべて無事だったことが確認できると) 大丈夫っぽいです。日南さん見習って買ってみたんですけど、早速ドジ踏みました (なんて恥ずかしそうに笑って。臭い、と言われると首傾げ、相手の体に少し顔を寄せてみて。ようやく言葉の意味が理解でき、そのまま顔を上げると「晩酌っすか」とへらりと笑って)

ぜんぶ見てたよ、やばいっつって焦ってた（恥ずかしそうに笑いながら食材を詰め終える相手にそう悪戯っぽく笑い返して、自分を見習ってという言葉に、だからおれのは料理じゃないって、と顔の前でぱたぱたとゆるく手を振って。わざわざにおいを嗅がれるようにされれば少し身体を引いて、酒臭いの嗅ぎたい奴なんかいねえだろと内心苦笑いしながら。まあそんなとこ。と頷き、つじくん成人してる？よね？ とふと思い付いたように首を少し傾いで）

わ、恥っず (袋を持っていない方の手で顔を覆うと、はー、と溜息をついて。) 完全外食の俺よりはレベル高いですよ。野菜の選び方とか、全然わかんねーし (袋から取り出したのは一つのトマト。いくつか見比べてみたけれど、やはり違いは分からなかったと苦笑して。) してます。ギリ (立ち上がりながら答えると、「お礼も兼ねて、晩酌の続き、します？」なんてアパートの入り口を指し)

おれ美味しいと思ったやつ買ってる（相手の大袈裟な溜息にはははと笑い。まるで如何にも自分を凄いと尊敬しているような口ぶり、少なくとも自分にはそう聞こえた、に半笑いの表情で未だに正しい野菜の選び方など分からない自分を美化するみたいに肩を竦めてそう言って。ギリ、ということは二十歳か若いなと改めて相手の顔を見て思う。思いがけない相手の誘いにエッと咄嗟に出る声、相手の指差すアパートをちらと見てすこし迷いながら）あー…、いいの？（ひとりでは呑まないのに、誰かが持ってきていつの間にか冷蔵庫の中で増殖していく酒たちの存在がふと思い出されて、じゃあ俺の部屋の缶チューとかビールとか呑んでよと）