【NL】男と狐と耳と尻尾【非募集】

･･･― ― お腹なっちゃうな。(此処数日間食べるものがなくて何も食べていない。勿論お腹が空くのは当たり前のことで。ぐう、とお腹のなる音が。周りには誰も居ないはずなので恥ずかしくもない、それより何でも良いから食べ物が欲しい。フラフラ、とそばにあった木にもたれかかって。)

…ん？(誰も居ない筈の木の下に何かの気配を感じれば訝しげな表情を浮かべて近づいていき、シルエットからその気配の正体が人だとわかり一体何をしているのだろうかと疑問を感じながら｢おい、そんなとこで何してんだ？｣と率直に質問を投げかけて

･･･あの･･･お腹が空いて動けないんです･･･(近づいてくる相手は大の苦手な人間である。明らかにビクビクとし上記もブツブツと答えた。相手は苦手な人間だがこれ以上食べるものがなければ飢え死になって死んでしまう

なっ…!?(近くまでやってきてその姿を確かめて人間のそれとは異なる耳と尻尾を持った相手に驚き絶句をして、しかしすぐにそれが作り物だろうと自分の中で結論を出せば落ち着いて｢腹減ったって、家は無いのかよ？｣と質問を投げかけながら、もしや家出でもしたのだろうかと考えて面倒に巻き込まれたらやだななんて考えていて

.....迷子....迷子になったんです(相手は人間だと言うのにこの尻尾や耳の格好に驚いたりしないようだ。少し興味本位に相手を見てみた。狐、なのだから人間見たいの家が有る筈が無い。どうやってごまそうか脳内でグルグルと考えた。思い浮かんだ嘘が上記で。

いい年して迷子だぁ？(外見からして自分と年が近いのだろうと推測すれば遠慮の無い言葉をぶつけて、しかし相手がお腹が空いて動けない程に衰弱しているのは見て取れて、ここで見捨てるのは寝覚めが悪いと考えれば｢…これでも食え｣とカバンからパンを取り出して相手へと差し出して

いつの間にかに道に迷ってしまって･･･(少し相手は疑っているようだが何とか誤魔化せたようだ。ほっと一息ついて。「 ･･･良いんですか？有難う御座います！」人間も割と良い人なのかもしれないという思考が一瞬思い浮かぶも思いつかなかったことにし。取り敢えずお腹が空いている為もらったパンを一口口にした。美味しい、久しぶりのご飯のため美味しく感じる。嬉しそうに微笑んで。

ふーん…(正直なところ全然信じてなんていないが、詳しく聞いたところで相手は正直に答えるつもりなんてないだろうと考えてはとりあえず納得した素振りだけ見せて、パンを頬張る相手をジッと見ていれば｢美味いか…？｣と自然と言葉が漏れて

･･･あ。美味しいです(久しぶりのご飯の為モグモグと口を動かして完食した。視線が感じると思えば相手が此方の方をじっと見ているじゃないか。少しビクッと肩を震わすも問いかけに頬を緩ませヘラリと笑った。この人は良い人なのかもしれない。こんな私に食べ物をくれるだなんて

そうか、そりゃよかったな(キチンと完食し、笑顔を浮かべる相手の様子を見れば答えを聞くまでもなくて上記述べて、そして次は自称迷子だという相手をこれからどうするべきかと考えては｢お前、これからどうすんの？迷子なら警察にでも行くか？｣と少々投げやりに問いかけて

け、警察は嫌です･･･(相手の発言にブルブルと首を降った。警察と言えば人が沢山居るしこの耳と尻尾がばれて変なところに連れて行かれたりすれば大変なことになってしまう。そんな事を想像すればビクビクと肩を震わせ。相手に助けてとでも言うかのようにジッと見つめた

そう言われても、このままじゃまたぶっ倒れるぞ？(パン一つでは大して空腹は紛らわすことも出来ないだろう、事情こそわからないものの帰る家もない様子の相手をこのまま放っておけば同じことの繰り返しになるのは目に見えており、しかしこんなふうに助けを求めるような表情を向けられては冷たく突き放すことも出来ずにいて

･･･で、でも･･･(倒れるのは嫌だ。このまま死ぬのも絶対に。飢え死で人生が終わるだなんて。怖くなったのかグッと自分の手に力を込めた。どうすれば良いのだろう、自分は。彼をもう一度ジッと見つめて。相手しかもう頼れる人がいなくて

わかった！なら家に来い…(ここまで関わってしまったからにはもう覚悟を決めるしかない、そう考えれば上記を口にして、だが果たしてこちらに対して妙に怯えている様子の相手がこの話に乗ってくるだろうかと疑問を持っていて

･･･良いんですか･･･(相手の発言に驚いたように目を見開いた。ここまで相手に頼ってしまって良いのかと思うものここで遠慮をしていたら自分はどうなるかさえ分からない。「 ･･･はい、行かせてもらいます」さっきとは違う表情で嬉しそうに口角を上げ微笑んだ

好きにしろ…(結局面倒ごとを抱え込むことになってしまったなんて考えては大きくため息をつき投げやりに上記言い、微笑む相手の表情に一瞬見とれるがすぐにそっぽ向けば｢…とっとと行くぞ｣とぶっきらぼうに言っては歩き始めて

･････････はい。(ため息をつく相手にやっぱり迷惑だったかなと思うもそっぽ向く相手を不思議そうに首を傾げ見つめた。彼の発言に頬を緩ませ返事をした。少し駆け寄って相手の隣に並んだ。人間、の家に行くなんて始めて。人間とこんなに仲が良くなれるなんて。

…悪いけどさ、その耳と尻尾は外してくれ、俺まで変人と思われるだろ…(隣に並んで歩く相手を横目で見ては耳と尻尾に視線がいき、まだ作り物だと信じて疑わずにいれば自宅に向かうまでに人通りの多い街を通る必要があることを考慮して外してくれるように頼んでみて

･･･え、これですか？(相手の視線の先には自分の頭についている耳と尻尾にいっているようだ。この耳と尻尾が外せるのだろうか、なんて脳内でグルグルと考え自問自答を繰り返した。その耳と尻尾を触って引っ張ってみるも取れるはずがない。「 ･･･これ、外れませんよ？」相手は何を言っているんだろう、なんて不思議に思いながらも彼を見つめ首を傾げた

(遅くなってすみません！

は？いやいや、そんなわけ…(取れないだなんて何の冗談だろうか、そんなことある筈ないと相手の耳をグイッと無遠慮に引っ張って見ればまるで取れる気配はなく｢取れねぇ…｣と完全に呆然していて

(/いえいえ、大丈夫ですよ～